意外にも着床前遺伝子検査は高齢女性の体外受精成功率を低下

提供元:ケアネット

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公開日:2007/07/18

 

体外受精(IVF)を受けた母体年齢の高い女性の妊娠率は、強い期待にもかかわらず低いという現実がある。一方で、流産の可能性が極めて高い異数性を対象に行われる卵割段階の胚への着床前遺伝子検査が、これら女性のIVFの成功率を高める可能性が示唆されている。

 オランダ・アムステルダム大学生殖医療センターのSebastiaan Mastenbroek氏らのグループは、着床前遺伝子検査を行ったIVF群と行わなかったIVF群の妊娠率等の比較調査を行い、その可能性について検証した。NEJM誌7月5日号掲載(7月4日オンライン版で初公開)の報告から。

35~41歳のIVF希望者対象に無作為化二重盲検試験


研究グループは、35~41歳の女性を対象に、着床前遺伝子検査実施群と実施しない対照群それぞれで3サイクルのIVFを実施比較する多施設共同無作為化二重盲検対照試験を行った。

主要評価項目は、着床後12週の時点で妊娠が継続しているかであり、副次評価項目は、生化学的妊娠、臨床妊娠、流産と生児出生。

検証は、女性408例(全836サイクルのIVFを受けた)が、着床前遺伝子検査実施群206例(434サイクル)と、実施しない対照群202例(402サイクル)にランダムに割り付けられ行われた。

妊娠継続率、生児出生率とも有意に低下


着床後12週での妊娠継続率は、着床前遺伝子検査実施群は52例(25%)で、対照群の74例(37%)より有意に低かった(率比0.69、95%信頼区間0.51-0.93)。生児出生率も着床前遺伝子検査実施群が有意に低かった[実施群49例(24%)、対照群71例(35%)、率比0.68、95%信頼区間0.50-0.92]。

これらから、着床前遺伝子検査は母体年齢の高い女性のIVF後の妊娠継続率と生児出生率を高めるものではなく、逆に有意に低下させていると結論づけている。

(朝田哲明:医療ライター)