ポーランドのCHD死低下、リスク因子低減とEBMの寄与が大

提供元:ケアネット

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公開日:2012/02/17

 



ポーランドでは、2005年の冠動脈心疾患(CHD)による死亡数が1991年に比べて半減し、その要因は主要なリスク因子の低減とEBMの進展による治療法の進歩であることが、グダニスク医科大学のPiotr Bandosz氏らの検討で示された。ポーランドでは、1980年代にみられた若年層の心血管死の急増傾向が、市場経済導入後の1990年代初頭には急速に減少したという。社会経済的な変革によって、ライフスタイルの大きな変化や医療システムの実質的な改善がもたらされたと考えられる。BMJ誌2012年2月4日号(オンライン版2012年1月25日号)掲載の報告。

CHD死低下の要因をモデル研究で評価




研究グループは、1990年代初頭の政治的、社会的、経済的な変革を経たポーランドにおけるCHD死の急激な低下が、薬物療法や手術、心血管リスク因子の変化でどの程度説明が可能かを評価するために、モデルを用いた研究を行った。

1991~2005年における25~74歳の地域住民を対象とし、解析には対照比較試験やメタ解析、全国調査、公式の統計解析などのデータを使用した。
女性では血圧低下が、男性では喫煙率低下が良好な影響示す




ポーランドにおけるCHDによる死亡率は1991~2005年の間に半減し、2005年には25~74歳の集団のCHD死が2万6,200件減少した。このうち約91%(2万3,715件)が使用したモデルで説明可能だった。

このCHD死低下の約37%は、心不全治療(12%)、急性冠症候群の初期治療(9%)、心筋梗塞や血行再建術後の2次予防治療(7%)、慢性狭心症治療(3%)、その他(6%)によるものであった。また、約54%はリスク因子の変化によるもので、総コレステロール値の低下(39%)と余暇の身体活動の増加(10%)が主であった。BMIや糖尿病の発症率は増加しており、死亡率には悪い影響を及ぼしていた(それぞれ-4%、-2%)。

女性では、死亡率低下の約29%が血圧低下によるものであったが、男性の血圧は上昇しており、死亡率は増加していた(-8%)。男性では、観察された死亡率低下の約15%が喫煙率の低下に起因していたが、女性における喫煙の影響はわずかであった。

著者は、「ポーランドでは、2005年のCHDによる死亡率が1991年に比べて半減し、その要因として主要なリスク因子の低減が半分以上を占め、約3分の1はEBMの進展による治療法の進歩に起因していた」と結論している。

(菅野守:医学ライター)