フルダラビン+シクロホスファミド併用は慢性リンパ性白血病の標準治療

提供元:ケアネット

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公開日:2007/08/02

 

1990年代に、クロランブシルは慢性リンパ性白血病(CLL)に対する標準的治療法であった。2001年、アメリカ・MDアンダーソン癌センターの研究グループは第II相試験において未治療のCLLに対するフルダラビン+シクロホスファミド併用療法の有効性を報告している。

 イギリス・サットン市の癌研究所血液腫瘍科のCatovsky氏らは、以前の試験よりも増量したうえで、フルダラビン+シクロホスファミド併用療法をクロランブシル単剤、フルダラビン単剤と比較する多施設共同無作為化第III相試験(LRF CLL4試験)を実施した。7月21日付Lancet誌掲載の報告から。

併用群は、完全寛解率、全体の奏効率、無増悪生存率が有意に優れる


1999年2月~2004年10月の間に136施設に未治療のCLL 777例が登録され、フルダラビン群(194例)、フルダラビン+シクロホスファミド群(196例)、クロランブシル群(387例)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は全生存率(OS)、副次評価項目は奏効率(RR)、無増悪生存率(PFS)、安全性、QOL。

フォローアップ期間中央値は3年5ヵ月。OSは3群間で有意な差を認めなかった。完全寛解率(CR)、全体のRRはフルダラビン+シクロホスファミド群がフルダラビン群よりも有意に優れており(CR:38 vs. 15%、RR:94 vs. 80%、それぞれp<0.0001)、クロランブシル群との間にも有意差を認めた(CR:7%、p=0.006、RR:72%、p=0.04)。5年PFSも、それぞれ36%、10%、10%と併用群が有意に優れた(p<0.00005)。

既報データとのメタ解析でPFSに関する併用療法のベネフィットを確認


好中球減少および入院日数は、クロランブシル群に比べ併用群、フルダラビン群で多かったが、溶血性貧血は併用群が両単剤群よりも少なかった。QOLは奏効例で良好であったが、初期解析では3群間に有意な差は見られなかった。

さらに、本試験の結果と既報の2つの第III相試験(GCLLSG、E2997)のデータについてメタ解析を行ったところ、PFSに関するフルダラビン+シクロホスファミド併用の一致したベネフィットが確認されたという。Catovsky氏は、「フルダラビン+シクロホスファミド併用療法はCLLに対する標準的治療法とすべきであり、モノクローナル抗体を併用する新たなプロトコールの基盤となる」としている。なお、17p(p53)欠失例は本レジメンが奏効しない可能性が高いため推奨されないという。

(菅野 守:医学ライター)