腸管凝集性志賀毒素産生大腸菌(STEC O104:H4)の感染者に対し、アジスロマイシン(商品名:ジスロマック)を投与することで、排菌期間を短縮できることが示された。ドイツ・Schleswig-Holstein大学病院のMartin Nitschke氏らが、65人の感染者について行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2012年3月14日号で発表した。STEC感染への抗菌薬治療は、溶血性尿毒症症候群(HUS)発症リスクを増大する可能性があるとして、あまり行われていないが、一方で、腸管凝集性大腸菌への抗菌薬投与は広く行われている。
65人を約40日追跡
研究グループは、2011年5月15~7月26日の間に、ドイツ・ルベックにあるセンター病院単施設で、STEC O104:H4に感染した65人について、アジスロマイシン投与の有無と、排菌期間について追跡調査を行った。被験者の中には、HUSを発症している人も、していない人も含まれた。発症後の追跡期間の平均値は、39.3日だった。
主要アウトカムは、STEC O104:H4の保菌期間とアジスロマイシン投与の関係だった。
長期保菌者発生、非投与群81%に対し、アジスロマイシン群4.5%
被験者のうち、経口アジスロマイシンを投与したのは22人、投与しなかったのは43人だった。
結果、28日超の長期STEC保菌者は、アジスロマイシン群が22人中1人(4.5%、95%信頼区間:0~13.3)だったのに対し、非投与群は43人中35人(81.4%、同:69.8~93.0)と、有意に高率だった(p<0.001)。
アジスロマイシン群全員が、同服用終了後に、3回以上の便検査でSTEC陰性が得られ、再発は認められなかった。また、非投与群で長期STEC保菌者のうち15人について、アジスロマイシンを3日投与したところ、便検査でSTEC陰性が得られた。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)