乳がん検出のため、マンモグラフィ検査に超音波検査やMRIを追加実施すると、乳がん検出の感受性は向上することが示された。ただし、疑陽性所見も増大する。米国Magee-Womens HospitalのWendie A. Berg氏らが、乳がんハイリスクの女性約2,800人について行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2012年4月4日号で発表した。マンモグラフィでは見つからない小さなリンパ節陰性乳がんも、年1回の超音波スクリーニングで検知可能とされ、さらにMRIは、マンモグラフィと超音波スクリーニングでは検出不可能な乳がんを見つけられる可能性があるとされる。Berg氏らは、それらを踏まえて本検討を行った。
110人が乳がんと診断、マンモグラフィによる検出は33人のみ
研究グループは、2004年4月~2006年2月にかけて、21ヵ所の医療機関を通じて、乳がんリスクが高い人と高密度乳腺の人、合わせて2,809人の女性について、マンモグラフィ検査と超音波検査による、年1回の乳がん検診を行った。3回の検診終了後、うち703人については、MRI検査も行った。そして、生検と1年間の臨床的追跡により、乳がんの有無を確認した。
主要アウトカムは、乳がん検出率、感受性、特異性、陽性適中率とがん期間発生率だった。
被験者のうち2,662人が7,473回のマンモグラフィと超音波を受けた。
結果、乳がんの診断を受けたのは110人(111診断)だった。そのうち、マンモグラフィのみで検出されたのは33人、超音波検査のみが32人、両検査による検出が26人だった。また、マンモグラフィと超音波検査後のMRIで検出されたのは9人、いずれの検査でも検出されなかったのは11人だった。
感受性、マンモグラフィのみ0.52、超音波を加えると0.76、MRIで1.00に
マンモグラフィと超音波検査の、乳がん検出に関する感受性は0.76、特異度は0.84、陽性適中率は0.16だった。マンモグラフィ検査のみだと、感受性は0.52、特異度は0.91、陽性適中率は0.38だった。
一方、MRI検査を行い結果が得られた612人についてみると、マンモグラフィと超音波にMRIを加えた人では、感受性は1.00、特異度は0.65、陽性適中率は0.19と、感受性が向上した。同グループの、マンモグラフィと超音波を受けた場合の感受性は0.44、特異性は0.84、陽性適中率は0.18だった。
乳がん1例を検出するための必要検査数は、マンモグラフィ127回、補足検査としての超音波検査は234回、マンモグラフィ検査と超音波検査の結果が共に陰性だった場合のMRI検査は68回だった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)