サルモネラ感染の拡大、通販で購入したひな鳥が原因と特定

提供元:ケアネット

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公開日:2012/06/13

 



2005年に特定されたヒトサルモネラモンテビデオ感染症の集団発生について、米国CDCのNicholas H. Gaffga氏らが、感染源を特定し予防対策を講じる調査を行った結果、通信販売専門の孵化場から出荷されたひな鳥との接触が原因であったことが報告された。感染したのは主に幼児で、孵化場への介入により、ヒトへの感染は減少したが根絶には至らず、「生きているひな鳥からのサルモネラ菌伝播を断つことは難しいことが示された」と結論している。NEJM誌2012年5月31日号掲載報告より。

2004~2011年の間に43州316症例が同定、患者の年齢中央値は4歳




ヒトサルモネラ感染症の集団発生は、生きたひな鳥との接触が関連しているとの見解が高まっているが、有効なコントロール方法はわかっていない。研究グループは、2005年に全米亜型分類ネットワークPulseNetによって確認された、ヒトサルモネラモンテビデオ感染症について調査を行った。

公衆衛生局および動物衛生局と協力し、多州にわたる患者インタビュー、トレースバック調査、集団発生に関連した通信販売専門の孵化場での環境検査などを行い、感染源を特定し、さらなる予防対策を行った。

症例は、2004~2011年に報告された発生株に感染していた例と定義した。その結果、43州で43州にわたる316症例が同定された。患者の年齢中央値は4歳だった。
孵化場へ介入後、ヒトへの感染は減少したが伝播は継続




面談は156例(49%)の患者(または保護者)に対して行われた。

そのうち、入院は36例(23%)だった。また、情報が得られた145例のうち、80例(55%)に出血性下痢が認められた。

入手できた、孵化後まもないひな鳥と接触したことを示す情報は159例あった。このうち、122例(77%)で接触があったことが報告された。

トレースバック調査の結果、米国西部にある1つの通信販売専門孵化場が同定された(調査結果81%)。この孵化場で採取したひな鳥の検体から、ヒトサルモネラモンテビデオ感染症集団発生株が分離された。

孵化場へ介入後、ヒトへの感染は減少したが伝播は継続した。

(武藤まき:医療ライター)