貧困家庭に対する資金援助プログラムが子どもの健康、成長、発達を改善

多くの国の政府が、健康、栄養、教育への介入による貧困家庭の環境改善を目的に、条件付き資金援助(conditional cash transfer; CCT)を実施している。米国California大学バークレー校公衆衛生学のLia C Fernald氏らは、メキシコで実施されたCCTプログラムOportunidadesの効果を評価、Lancet誌2008年3月8日号でその有効性を報告した。現在、世界には、成長、認知、社会情緒の発達が十分でない5歳以下の子どもが、2億人以上存在するという。
1998年にメキシコで開始されたCCTプログラムを評価
CCTプログラムに登録された家庭は、一定の条件を満たせば援助金を現金で受け取ることができる。その条件とは、予防のための衛生要件と栄養補給、教育、モニタリングであり、健康アウトカムを改善し、積極的な行動変容を促進するようデザインされている。
メキシコで1998年に開始された介入では、506の低所得地区がCCTプログラム(Oportunidades、以前はProgresaと呼ばれた)に早期に登録する地区(320地区)と18ヵ月後に登録する地区(186地区)に無作為に割り付けられた。2003年に調査が実施され、プログラムに登録された生後24~68ヵ月の2,449人の子ども(早期介入群:1,681人、後期介入群:768人)について、広範な内容のアウトカム評価が行われた。
家庭の社会経済状況の評価など幅広い共変量のコントロールを行い、資金援助額の倍増と関連する個々のアウトカムの効果サイズ(effect size)を検討するために、線形回帰およびロジスティック回帰分析を実施した。
資金援助額の増額により健康、成長、発達のアウトカムが改善
資金援助額の倍増は、身長/年齢比のZスコアの高値(p<0.0001)、成長阻害発現率の低値(p<0.0001)、BMI低値(p=0.04)、過体重発現率の低値(p=0.001)と有意な相関を示した。また、援助額の増額と、運動発達、認知発達、言語理解力の判定で良好な結果を示す子どもとの関連性も認められた。
研究グループは、「Oportunidadesによる資金援助は子どもの健康、成長、発達において良好なアウトカムをもたらす」と結論し、「Oportunidadesのこの領域の目標は達成されている」と総括している。
(菅野守:医学ライター)
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