特定のプロバイオティクスが小児の急性下痢の期間と排便回数を改善

提供元:ケアネット

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公開日:2007/08/31

 

急性下痢は、グルコース電解質を含む水分補給用飲料の経口投与により失われた水分を補うことで管理されるが、この方法では下痢の重症度や持続期間は改善されない。プロバイオティクス(ヒトの健康に良好な作用を及ぼす細菌)はヨーロッパの多くの国で小児の急性下痢の補助的治療法として用いられており、いくつかの製品は重症度や持続期間の改善効果が認められている。

 イタリア・ナポリ大学Federico II小児科のRoberto Berni Canani氏らは、5つのプロバイオティクス製品の急性下痢の改善効果を比較する無作為化対照比較試験を実施した。BMJ誌8月9日付オンライン版、8 月18日付本誌に掲載された報告から。

患児の親が特定製品の購入説明文書に無作為に割り付けられた


対象は、急性下痢で6つの家庭小児科を受診した生後3~36ヵ月の小児とした。患児の親が、以下の特定のプロバイオティクス製品の購入に関する説明文書を受け取る群に無作為に割り付けられた。

水分補給用飲料(対照群)、Lactobacillus rhamnosus strain GG、Saccharomyces boulardii、Bacillus clausii、L delbrueckii var bulgaricus/Streptococcus thermophilus/ L acidophilus/ Bifidobacterium bifidumの混合製品、Enterococcus faecium F68。

5つの介入群のうち2つのプロバイオティクスで有効性を確認


1999年10月~2000年9月の1年間に571例の患児が登録され、対照群と5つの介入群に割り付けられた。下痢の持続期間(中央値)は、対照群(115.0時間)に比べL. rhamnosus strain GG群(78.5時間)および4種の混合群(70.0時間)で有意に短縮していた(p<0.001)。

初回プロバイオティクス投与後1日目の排便回数は、L. rhamnosus strain GG群および4種の混合群が他の群に比べ有意に少なかった(p<0.001)。残りの3つの介入群は下痢の持続期間および排便回数に影響を及ぼさなかった。また、嘔吐および発熱の持続期間、入院率についてはいずれの介入群も対照群と同等であった。

Canani 氏は、「市販のプロバイオティクス製品の中には小児の急性下痢に有効なものがあるが、すべての製品が効果的なわけではない」とし、「プロバイオティクスは薬剤とみなすべきであり、医師は個々の臨床的病態における各製品の有効性に関するエビデンスに基づいて選択すべきである」と指摘している。

(菅野 守:医学ライター)