重症腹膜炎患者にはon-demandな外科的治療を優先すべき

提供元:ケアネット

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公開日:2007/09/04

 

二次性腹膜炎患者について検討される再開腹術には、on-demand治療戦略とplanned治療戦略がある。それぞれ一長一短が言われており検証されていないのだが、死亡率、腹膜炎に関連した罹病率の低下、医療資源の消費およびコストを抑えられる可能性があることからon-demand治療を支持する声が高まっている。

 そこでOddeke van Ruler氏らオランダ腹膜炎研究グループは無作為化試験を行い、どちらがふさわしいか検討した。JAMA誌8月22日号掲載の報告から。

死亡率、腹膜炎関連の罹病率を主要エンドポイントに


試験対象は、オランダにある2つの大学病院と5つの教育病院で2001年11月~2005年2月の間に治療を受けた、重症の二次性腹膜炎でAPACHE- IIスコアが11以上の患者232例。on-demand治療群(116例)とplanned治療群(116例)に無作為に割り付けられ、主要エンドポイントは12ヵ月の追跡調査期間内の死亡率と腹膜炎関連の罹病率、2次エンドポイントは医療資源の消費とコストで検証された。

費用対効果でon-demand治療に軍配


主要エンドポイント(死亡率と腹膜炎関連の罹病率)は、on-demand治療群57%(n=64) vs planned治療群65%(n=73)で有意差はなかった(P=0.25)。死亡率は29% vs 36%(P=0.22)、罹病率は40% vs 44%(P=0.58)だった。

割り付けられた各群患者のうち再開腹術を受けたのは、on-demand治療群42%、 planned 治療群94%だった。1回の再開腹術で腹膜炎の所見がネガティブに至った患者は、on-demand治療群31%、planned治療群66%だった(P <0.001)。

患者のICU滞在日数、入院日数はon-demand治療群のほうが短く(7日vs 11日;P=0.001、27日 vs 35日;P=0.008)、患者1人当たりの直接医療費はon-demand 治療を選択することで23%切り詰められていた。

以上の結果からRuler氏らは、「on-demand治療はplanned 治療と比べて死亡率が低いとか腹膜炎関連の発病を伴わないというわけではないが、医療資源の消費と医療費は相当少なくて済むことが明らかとなった。重症の腹膜炎患者が優先すべき外科的戦略はon-demand治療と考えられる」と結論付けた。

(武藤まき:医療ライター)