ビタミンK拮抗薬と比較して、新規経口抗凝固薬は急性静脈血栓塞栓症の再発リスクは同程度であり、全死因死亡も同程度であるが、リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)については出血リスクを減少することが、カナダ・マギル大学のBenjamin D Fox氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、示された。BMJ誌2012年11月24日号(オンライン版2012年11月13日号)掲載より。
リバーロキサバン、ダビガトラン、キシメラガトラン、アピキサバンvs.ビタミンK拮抗薬
研究グループは、新規経口抗凝固薬[リバーロキサバン、ダビガトラン(商品名:プラザキサ)、キシメラガトラン(開発中止)、アピキサバン(同:エリキュース)]について、急性静脈血栓塞栓症における有効性を批判的にレビューすることを目的とした。
試験選択基準は、ビタミンK拮抗薬との比較による無作為化試験とし、2012年4月時点におけるMedline、Embase、Cochrane Libraryをデータソースとして文献の検索と、関連研究の手動検索および専門家への聞き取りを行った。
解析では、イベント再発、重大出血、全死因死亡をアウトカムとした。
有効性と安全性について9試験を組み込みレビューとメタ解析
選択基準を満たした9試験を組み込み、有効性については1万6,701例、安全性については1万6,611例のデータに基づき評価を行った。有効性と安全性のデータは、各経口抗凝固薬で階層化した。
結果、静脈血栓塞栓症の再発率は、すべての新規薬と従来薬(ビタミンK拮抗薬)との間で有意な差はみられなかった。
・リバーロキサバン(4試験) 相対リスク(RR):0.85、95%信頼区間(CI):0.55~1.31
・ダビガトラン(2試験) RR:1.09、95%CI:0.76~1.57
・キシメラガトラン(2試験) RR:1.06、0.62~1.80
・アピキサバン(1試験) RR:0.98、0.20~4.79
リバーロキサバンは従来薬よりも重大出血を抑制したが、他の新規抗凝固薬は抑制しなかった。
・リバーロキサバン RR:0.57、95%CI:0.39~0.84
・ダビガトラン RR:0.76、95%CI:0.49~1.18
・キシメラガトラン RR:0.54、0.28~1.03
・アピキサバン RR:2.95、0.12~71.82
全死因死亡率は、すべての新規薬と従来薬との間で有意な差はみられなかった。
・リバーロキサバン RR:0.96、95%CI:0.72~1.27
・ダビガトラン RR:1.00、95%CI:0.67~1.50
・キシメラガトラン RR:0.67、0.42~1.08
・アピキサバン RR:6.89、0.36~132.06
リバーロキサバンとダビガトランの補正後間接比較の結果は、静脈血栓症(0.78、0.49~1.24)、重大出血(0.75、0.41~1.34)、全死因死亡(0.96、0.59~1.58)いずれのエンドポイントについても、どちらがその他の薬よりも優るのかというエビデンスは得られなかった。
Fox氏は、「大規模な対照無作為化試験の必要性は残されたままである」とまとめている。