変異型を含むBCR-ABLを阻害するポナチニブ(ponatinib、AP24534)を、チロシンキナーゼ阻害薬耐性のフィラデルフィア染色体陽性(Ph陽性)の白血病患者に投与すると、高い治療反応が認められることが示された。慢性期の慢性骨髄性白血病(CML)患者のうち、血液学的完全寛解が認められたのは98%に上った。米国・M.D.アンダーソンがんセンターのJorge E. Cortes氏らが、80例超のチロシンキナーゼ阻害薬耐性の血液腫瘍患者について行った試験で明らかにしたもので、NEJM誌2012年11月29日号で発表した。
ポナチニブを2~60mg/日投与、中央値56週間で追跡
研究グループは2008~2010年にかけて、チロシンキナーゼ阻害薬耐性の血液腫瘍患者、81例に対し、ポナチニブを2~60mg/日投与した。被験者のうち、60例はCML、5例はPh陽性急性リンパ芽球性白血病(ALL)だった。追跡期間の中央値は、56週間だった。
Ph陽性患者のうち、2種以上のチロシンキナーゼ阻害薬の投与歴があったのは91%、3種すべての投与を受けていたのは51%だった。
CML患者の血液学的完全寛解は98%、細胞遺伝学的寛解は72%
結果、慢性期CML患者43例のうち、血液学的完全寛解が認められたのは98%、細胞遺伝学的完全寛解が認められたのは72%、分子生物学的寛解が認められたのは44%だった。
T315I変異を伴う慢性期CML患者12例のうち、血液学的完全寛解が認められたのは100%、細胞遺伝学的寛解は92%で得られた。
また、変異の認められない慢性期CML患者13例のうち、血液学的完全寛解が認められたのは100%、細胞遺伝学的寛解は62%で得られた。
さらに、移行期または急性転化期のCMLおよびPh陽性ALLの22例では、血液学的完全寛解が認められたのは36%、細胞遺伝学的寛解は32%で得られた。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)