正期産となるかは妊娠初期の子宮の膨張に依存されることは、生理学および生化学の研究によって示唆されている。また妊娠中期の子宮頸管の短縮が自然早産のリスク増加に関係していることも知られている。英国ケンブリッジ大学産科・婦人科のGordon C.S. Smith氏らは、逆に妊娠中期に子宮頸管が長いままだと、正期産で帝王切開分娩になるリスクの増大につながるのではないかと仮説を立てた。NEJM誌2008年3月27日号より。
妊娠23週で子宮頸管長16mm以上の初産女性27,472例を対象
研究対象は、妊娠期間の中央値23週の時点における子宮頸管長が16mm以上だった、正期産の初産女性27,472例。
正期産での帝王切開リスクは最長群が最短群の1.8倍
正期産で帝王切開分娩だった割合は、妊娠中期の子宮頸管長が最低四分位群の「16~30mm」で最も低く16.0%、次いで「31~35mm」18.4%、「36~39mm」21.7%、「40~67mm」25.7%と長くなるにつれて有意に高まった(傾向P<0.001)。
最長群「40~67mm」のリスクは、最低群「16~30mm」の1.81倍(95%信頼区間:1.66~1.97)だった。妊産婦の年齢、BMI、喫煙有無、人種・民族集団、出産までの妊娠週、自然分娩か誘発分娩か、出生時体重パーセンタイル、出産した病院で補正後のオッズ比は1.68(95%信頼区間:1.53~1.84、P<0.001)。
帝王切開分娩リスクの増加は、分娩時の進行不良に対する処置に起因していた。
これらからSmith氏らは「妊娠中期の子宮頸管長は、初産女性が正期で帝王切開を受けるリスクの独立した予測因子だ」と結論した。
(武藤まき:医療ライター)