「正常高値」血圧は中年女性でもリスク:WHSサブ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2007/09/14

 

「正常高値」血圧の中年女性は、「正常血圧」の同年代女性に比べ、10年間の心血管系イベントリスクが2倍近く有意に増加することが、米国における約4万人の女性を追跡した結果、明らかになった。Harvard Medical School(米国)のDavid Conen氏らによるWomen’s Health Studyのサブ解析。BMJ誌オンライン版8月19日付で早期公開された。本誌では9月1日号で掲載。

「正常高値」群では「正常血圧」群に比べ有意にイベントが増加


本解析に含まれたのは。45歳以上で心血管系疾患やその他重篤な疾患を有さない医療従事者の女性39,322例である。平均年齢は約55歳、喫煙者が15%弱、40%前後がホルモン補充療法を受けていた。

28,863 例(73.4%)では高血圧を認めなかったが、そのうち17.3%(4,988例)は血圧130~139/85~89mmHgの「正常高値」血圧だった。一方、「正常血圧」(120~129/80~84mmHg)は39.2%(11,326例)、至適血圧(120/75mmHg未満)は43.5%だった(血圧分類は1999年WHO-ISH規準)。

次に10.2年間の主要心血管系イベント発生リスクを上記血圧カテゴリー別に、多変量解析で年齢や肥満度などの背景因子を補正して比較した。「正常高値」群では「正常血圧」群に比べ有意にリスクが増加していた。すなわち、「正常高値」群のリスクを1とした場合、「正常血圧」群のリスクは0.61(95%信頼区間:0.48~0.76)だった。「正常血圧」群と「至適血圧」群のリスクには有意差はなかった。なお、主要心血管系イベントとされたのは「心筋梗塞、脳卒中、心血管死、死亡」である。

「高血圧」移行後は2年間でイベントリスクが50%上昇


観察期間中の「高血圧」への移行リスクも同様で、「正常血圧」群に比べ「正常高値」群では2倍近く、有意に上昇していた。ここで興味深いのは、「至適血圧」群では「正常血圧」群に比べ、高血圧移行リスクが有意に低い点である。「正常高値」群の移行リスクを1とすると、背景因子補正後の「正常血圧」群におけるリスクは0.42(95%信頼区間:0.40~0.44)だったのに対し、「至適血圧」群では0.17(95%信頼区間:0.16~0.18)となっていた。

また、ひとたび「高血圧」に移行すると、48ヵ月以内の主要心血管系リスク発生のイベントは「非移行」群の約1.5倍へ有意に増加することも本研究では明らかになっている。

筆者らは「正常血圧」と「正常高値」を「preheypertension(前高血圧)」と分類する現在の米国高血圧ガイドライン(JNC7)を批判し、「正常高値」群を特に高リスクとして予防に努める必要があると述べている。

(宇津貴史:医学レポーター)