非緊急の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)について、心臓外科部門のない病院(非専門施設)での実施のアウトカムが、同部門がある病院に劣らないことが、米国・ボストン大学医学部のAlice K. Jacobs氏らによる多施設共同の前向き無作為化非劣性試験「MASS COMM」の結果、明らかにされた。PCI後に緊急手術を要する事象の発生はまれになったが、最良のアウトカムを得るためには、PCI実施は専門施設を基本とするべきかについては不明であった。MASS COMMは、政策へのエビデンス提供を目的に州公衆衛生局と共同で2006年に企画された研究であった。NEJM誌オンライン版2013年3月11日号掲載の報告。
主要重大心イベントの発生について安全性(30日時点)と有効性(12ヵ月時点)を評価
本試験には10件の非専門施設と7件の専門施設が参加して行われた。2006年7月~2011年9月の間に、非専門施設で非緊急PCIが適応とされた患者を登録し、無作為に3対1の割合で専門施設または提携病院に割り付けた。
主要エンドポイントは、主要重大心イベント(死亡・心筋梗塞・再血行再建・脳卒中の複合)の発生について、安全性エンドポイントは30日時点で、有効性エンドポイントは12ヵ月時点の評価とした。主要エンドポイントはintention-to-treat解析にて行い、非劣性マージンは安全性エンドポイントについては1.5、有効性エンドポイントについては1.3とした。
主要エンドポイントは安全性、有効性とも非劣性マージンを下回る
3,691例が無作為化を受け、非専門施設PCI群に2,774例、専門施設PCI群に917例が割り付けられた。
結果、安全性エンドポイントとした30日時点の評価では、主要重大心イベントの発生は、非専門施設群9.5%、専門施設群9.4%で、非専門施設の非劣性が認められた[相対リスク(RR):1.00、95%信頼区間上限値:1.22、非劣性p<0.001]。
有効性エンドポイントとした12ヵ月時点の評価でも、各群17.3%、17.8%で、非専門施設の非劣性が認められた(同:0.98、1.13、p<0.001)。
主要エンドポイントの各イベントを個別でみても、30日時点、12ヵ月時点で両群間に有意な差はみられなかった。
(武藤まき:医療ライター)