QT延長症候群関与の遺伝子変異、子宮内胎児死亡の原因か?/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2013/04/25

 

 子宮内胎児死亡の原因として、QT延長症候群(Long QT syndrome:LQTS)に関与する遺伝子変異が関連している可能性が報告された。イタリア・パヴィア大学のLia Crotti氏らが、子宮内胎児死亡91児について行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2013年4月10日号で発表した。子宮内胎児死亡または死産の頻度はおよそ妊娠160件につき1件の割合で起きており、全周産期死亡の約50%を占めるという。

LQTS感受性の3種遺伝子変異の有無を調査
 研究グループは2006~2012年にかけて、米国・メイヨークリニックとパヴィア大学で報告された原因不明の子宮内胎児死亡91例について、死後の遺伝子検査を実施した。LQTSの最も一般的な3種の感受性遺伝子(KCNQ1KCNH2SCN5A)変異の有無を調べた。死亡した胎児の平均予測在胎月齢は、26.3週間(標準偏差:8.7)だった。

 一方で一見正常健康な1,300例超をコントロール群とし、また公開されているエキソームデータベースから入手した一般的集団における遺伝子変異の発生率を調べ、比較を行った。

8.8%の胎児で、LQTS関連イオンチャネルの機能不全の原因となりうる遺伝的変異を特定
 その結果、3児(3.3%、95%信頼区間:0.68~9.3)から、LQTS感受性ミスセンス突然変異と推定される遺伝子変異が検出された。公開されている1万超のエキソームデータでは、同変異のヘテロ接合頻度は0.05%未満だった。

 また、5児の子宮内胎児死亡から、SCN5Aのまれな非同義置換遺伝子変異が検出され、電気生理学的な特徴から不整脈誘発表現型の可能性が認められた。

 さらに計8児(8.8%)で、LQTS関連のイオンチャネルの機能不全の原因となりうる遺伝的変異が検出された。

 これらの結果を踏まえ著者は、「今回の予備的試験の結果は、一部の死産のメカニズムに関する洞察を与えるものだ」と結論付けている。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)