ICDのVT検出インターバル、長期vs.標準設定/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2013/05/23

 

 植込み型除細動器(ICD)について、心室不整脈(VT)検出インターバルを30~40に設定すると、標準設定の18~24と比べ、ATPやショック発生リスク、不適切なショック発生リスクのいずれもが、有意に減少することが明らかになった。一方で、死亡率については両者で有意差はなかった。イタリア・Humanitas Clinical and Research CenterのMaurizio Gasparini氏らによる無作為化単盲検試験「ADVANCE III」の結果で、著者は、「標準設定よりも長期インターバルの設定とする戦略は、適正な選択肢となりうる可能性がある」と結論している。JAMA誌2013年5月8日号掲載の報告より。

ATPとショックの発生回数を主要エンドポイントに
 Gasparini氏らは2008~2010年にかけて、虚血性・非虚血性病因により、一次・二次予防を目的にICDを初めて装着した1,902例について、無作為化単盲検試験を開始した。一方の群(長期インターバル群:948例)は、突発性fast VTが発生した際、ICDのVT検出インターバルを30~40とし、もう一方の群(標準インターバル群:954例)は、同インターバルを18~24に設定した。

 被験者の平均年齢は65歳(標準偏差:11)、一次予防のためにICDを装着した人は全体の75%だった。

 主要エンドポイントは、抗頻拍ペーシング(ATP)とショックの発生回数とし、不適切なショック数、死亡率、失神発生率を副次エンドポイントとした。

ATP/ショック発生リスクは長期インターバル群でおよそ4割減
 追跡期間の中央値は12ヵ月だった。標準インターバル群では、ATPまたはショックの回数は557回(67回/100人・年、95%信頼区間:62~73)だったのに対し、長期インターバル群は346回(42回/100人・年、同:38~47)であり、発生率比は0.63(同:0.51~0.78、p<0.001)だった。

 ATP回数は、標準インターバル群37回/100人・年に対し、長期インターバル群では23回/100人・年であり、罹患率比は0.58(同:0.47~0.72、p<0.001)だった。

 また、ショック数は、標準インターバル群30回/100人・年、長期インターバル群19回/100人・年であり、発生率比は0.77(同:0.59~1.01、p=0.06)だった。

 不適切なショックの初回発生リスクについては、長期インターバル群の標準インターバル群に対する発生率比は0.55(p=0.008)とおよそ半減した。

 一方、死亡率と失神発生率については、いずれも両群で有意差はみられなかった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)