投稿要件として「試験登録」を課している医学専門誌の割合を調べたところ、200誌中55誌と28%にとどまることが、英国・Sideview社パブリッシャーコンサルタントのElizabeth Wager氏らによる調査の結果、明らかになった。前向き試験登録は、出版バイアスを低下することが可能であり、ヘルシンキ宣言によって推奨され、現在一部の主要医学専門誌では出版公表の必要条件としている。2005年に国際医学誌編集者委員会がこの要件を必要とし始めてから、試験登録はかなり増加した。しかし特定の専門誌を対象に行われた小規模の先行研究では、試験登録を要件として示した雑誌はわずか16~33%であったことが報告されていた。BMJ誌オンライン版2013年9月6日号掲載の報告より。
試験登録を求めている医学専門誌を量的・質的に調査
Wager氏らは、試験登録と出版バイアスについての医学専門誌のポリシーと、編集者および出版者の見解について調べる定量的・質的調査を行った。試験登録を要件としている医学誌の割合を調べ(定量的調査)、そのようなポリシーおよびその他の出版バイアス低減策を、採っている(または採っていない)理由を明らかにすること(質的調査)が目的だった。定量的調査は2012年6月時点で行い、質的調査は2012年秋の時点で行った。
Cochrane CENTRALデータベースから臨床試験を発表している200の医学専門誌を無作為に選出して定量的調査を行い、そのうち試験登録に関する異なるポリシーを表明していた(または最近ポリシーを変更した)雑誌の編集者13人と出版者3人を特定し質的調査を行った。
要件として課している医学専門誌は28%
調査の結果、試験登録を具体的指示とともに要件としていたのは、55/200誌(28%)のみであった。また3誌が、推奨はしていたが要件とはしていなかった。
編集者と出版者への面談調査から、彼らが試験登録を要件とすることを嫌がるのは、ライバル誌に負けたくないという観点からであること、優れた論文や発展途上国からの報告を拒絶したくないということ、さらにすべての専門誌にそのような方針が必ずしも必要ではないと思っているからであることが判明した。
一部の面談調査対象者からは、小規模であったり探索的研究の場合は不要であると考えていることが明らかになった。
著者は、「大半の主要医学専門誌は、前向き登録試験のみを発表するかのように表明しており、そのような表明が試験登録数を増大したが、その方針を貫いている医学専門誌は少数であった」と述べるとともに、「編集者と出版者は、そのベネフィットを理解しておらず、またそのようなポリシーを採ることはライバル誌に対して不利になると考えているため、試験登録を必要とするのを嫌がるようだ」とまとめている。