精神症状を有するパーキンソン病患者に対し、セロトニン5-HT2A受容体選択的拮抗薬ピマバンセリンは陽性症状を改善することが、第3相臨床試験の結果、報告された。米国・Cleveland Clinic Lou Ruvo Center for Brain HealthのJeffrey Cummings氏らが発表した。パーキンソン病患者では精神症状(幻覚や妄想を含む)を有する頻度が半数以上と高く、同患者の衰弱の要因になっているが難治性である。今回の結果を受けて著者は「治療法がほとんどない精神症状を有するパーキンソン病患者に、ピマバンセリンは有用である可能性がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2013年11月1日号掲載の報告より。
試験開始後43日目のSAPS-PDスコアの変化を比較
研究グループは、2010年8月~2012年8月にかけて、米国とカナダの医療機関を通じ、パーキンソン病で精神症状のある40歳以上の患者199例を対象に、二重盲検無作為化比較試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方にはピマバンセリンを40mg/日、もう一方にはプラセボを、それぞれ投与した。
試験開始後15日、29日、43日にそれぞれ評価を行った。主要評価項目は、試験開始43日後のパーキンソン病患者向けに改変した陽性症状評価尺度(SAPS-PD)スコアの変化だった。
被験者の平均年齢は72.4歳、女性の割合はプラセボ群が42%、ピマバンセリンが33%だった。
ピマバンセリン群でプラセボ群に比べSAPS-PDスコアが約3ポイント減少
被験者のうち、プラセボ群90例、ピマバンセリン群95例について分析を行った。その結果、ピマバンセリン群では試験開始43日後のSAPS-PDスコアの変化は-5.79だったのに対し、プラセボ群では-2.73と、その格差は-3.06だった(95%信頼区間:-4.91~-1.20、p=0.001、Cohen's d=0.50)。
有害作用により服用を中止したのは、ピマバンセリン群では10例で、そのうち4例は服用後10日以内の精神障害または幻覚によるものだった。一方プラセボ群では、服用を中止したのは2例だった。
全体としては、ピマバンセリンの忍容性は良好で、安全性や運動機能悪化に対する有意な懸念はみられなかった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)