院外心停止に対する機械的心肺蘇生、予後は手動と同等/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2013/12/05

 

 院外心停止患者に対する、除細動併用の機械的心肺蘇生(CPR)と手動CPRとを比較した結果、4時間生存率に有意差は認められなかったことが判明した。スウェーデン・ウプサラ大学のSten Rubertsson氏らが、英・オランダを含めた3ヵ国6施設で登録された2,589例の院外心停止患者を対象に行った多施設共同無作為化試験「LINC」の結果、報告した。院外心停止に対する機械的CPRは、予後を改善する可能性が示唆されていたが、これまで大規模試験は行われていなかった。なお、6ヵ月時点までの神経学的アウトカムについても報告されているが、両群間に有意差はなく生存患者の94~99%のアウトカムが良好であったという。JAMA誌オンライン版2013年11月17日号掲載の報告より。

3ヵ国6施設2,589例を対象に無作為化試験
 LINC(LUCAS in Cardiac Arrest)試験は、胸部圧迫とともに除細動で機械的に心マッサージを行う機械的CPR(LUCAS Chest Compression System、米国Physio-Control社/スウェーデンJolife AB社製)アルゴリズムが、ガイドラインに即して手動で行うCPRと比較して、4時間生存率を改善するかを明らかにすることを目的とした。被験者は2008年1月~2013年2月に、救急サービスまたは搬送先病院(スウェーデン4施設、英国1施設、オランダ1施設)に登録された院外心停止患者2,589例であった。無作為に、機械的CPR群1,300例、手動CPR群1,289例に割り付けられ、6ヵ月間フォローアップを受けた。

 主要アウトカムは、4時間生存率。また、副次エンドポイントとして6ヵ月時点の脳機能カテゴリー(CPC)スコアで測定した神経学的アウトカムなども評価した。CPCスコアは、1、2をアウトカム良好と定義した。

4時間生存率、6ヵ月後神経学的アウトカムに有意差みられず
 結果、4時間生存率は、機械的CPR群23.6%(307/1,300例)、手動的CPR群23.7%(305/1,289例)で、有意差はみられなかった(リスク差:-0.05%、95%信頼区間[CI]:-3.3~3.2%、p<0.99)。

 CPCスコア1、2の患者は、ICU退室時点では機械的CPR群7.5%(98例)、手動的CPR群6.4%(82例)(リスク差:1.18%、95%CI、-0.78~3.1%、p=0.25)であった。また、病院退院時ではそれぞれ8.3%(108例)、7.8%(100例)(同:0.55%、-1.5~2.6%、p=0.61)、1ヵ月時点では8.1%(105例)、7.3%(94例)(同:0.78%、-1.3~2.8%、p=0.46)、そして6ヵ月時点では8.5%(110例)、7.6%(98例)(同:0.86%、-1.2~3.0%、p=0.43)だった。

 6ヵ月時点で生存していた患者でCPCスコアが1、2であった患者は、機械的CPR群99%・110/111例(スコア1:103例、同2:7例)、手動的CPR群94%・98/104例(スコア1:88例、同2:10例)だった。

 これらの結果を踏まえて著者は、「日常診療において、機械的CPRアルゴリズムは、手動的CPRと比べて効果の改善には結びつかなかった」と結論している。

(武藤まき:医療ライター)

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コメンテーター : 香坂 俊( こうさか しゅん ) 氏

慶應義塾大学 循環器内科 准教授

J-CLEAR評議員