妊娠中のBMI上昇はわずかであっても、胎児死亡や死産、新生児・周産期および乳児死亡のリスクを増大することが明らかにされた。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのDagfinn Aune氏らが、38件のコホート試験について行ったメタ解析の結果、BMIが5単位増大するごとに、同リスクは1.15~1.24倍増大することが示された。これまで両者の関連についていくつかの試験で示唆されていたが、各試験ではサンプルサイズや死亡報告例が少ないため、有意な関連を見つけるには至っていなかった。JAMA誌2014年4月16日号掲載の報告より。
BMIが毎5単位増大で胎児死亡1.21倍、死産1.24倍、新生児死亡は1.15倍
研究グループは、PubMedやEmbaseを基に、妊娠中のBMIと胎児死亡、死産、乳児死亡のリスクとの関連について、リスク比を報告しているコホート試験を対象に、メタ解析を行った。
解析対象となったのは38試験(44件の結果を報告)で、胎児死亡の総数は1万147例、死産は1万6,274例、周産期死亡は4,311例、新生児死亡は1万1,294例、乳児死亡が4,983例だった。ランダム効果モデルを用いて、要約リスク比を推定した。
その結果、妊娠中のBMIが5単位増大することによる要約リスク比は、胎児死亡が1.21(95%信頼区間:1.09~1.35、7試験)、死産が1.24(同:1.18~1.30、18試験)、周産期死亡が1.16(同:1.00~1.35、11試験)、新生児死亡が1.15(同:1.07~1.23、12試験)、乳児死亡が1.18(同:1.09~1.28、4試験)だった。
非線形モデル検定の結果、いずれも関連は有意で、なかでも死産との関連が最も明白だった。
BMIが30だと、胎児死亡発生リスクは1万妊娠件中102件、20だと同76件
BMIがそれぞれ20、25、30の女性では、妊娠した場合の胎児死亡発生絶対リスクは、それぞれ1万妊娠件数中76件、82件、102件だった。
死産はそれぞれ1万妊娠件数中、40、48、59件、周産期死亡は66、73、86件、新生児死亡は20、21、24件、乳児死亡は33、37、43件だった。
これらの結果を踏まえて著者は、「女性の妊娠プランに関する体重管理ガイドラインに、今回の所見を盛り込み、胎児死亡や死産、乳児死亡の負荷を減らすようにしなくてはならない」とまとめている。同時に、「今回の検討で、母体肥満が胎児死亡、死産および乳児死亡のリスクを増大するというエビデンスが示された。しかし予防のためのBMI最適値は判明していない」とも指摘している。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)