パルスオキシメーター+臨床的評価、先天性心疾患発見に有用/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2014/05/07

 

 新生児の先天性心疾患の発見に、パルスオキシメーター+臨床的評価のスクリーニングは実質的で信頼性が高いことを、中国・復旦大学附属小児病院・Qu-ming Zhao氏らが前向き試験の結果、報告した。著者は、「この簡便で精度の高い複合的手法を、産科病院では先天性心疾患のスクリーニング法として活用すべきである」と提言している。これまでにいくつかの先駆的な試験において、クリティカルな先天性心疾患検出にパルスオキシメータースクリーニングを広く導入することに関するエビデンスは示されていた。著者は、「しかし、それらの報告は、高所得国で検討されたもので、低所得国でも同様に導入メリットがもたらされるかは不明であった」と、本検討を実施した理由を述べている。Lancet誌オンライン版2014年4月23日号掲載の報告より。

中国国内18病院で大規模前向き多施設共同スクリーニング試験
 研究グループは中国における、重大な先天性心疾患(とくにクリティカルな例)検出について、パルスオキシメーター+臨床的評価による実行可能性と信頼性を評価する前向き試験を行った。

 上海の3病院で検出精度を評価するパイロット試験を行い、データ収集計画を策定後、2011年8月1日~2012年11月30日にかけて、中国国内18病院で生まれた連続新生児(生後6~72時間)について、大規模前向き多施設共同スクリーニング試験を行った。スクリーニング結果が陽性(パルスオキシメーターもしくは臨床的評価のいずれかが異常)だった新生児には、検査後24時間以内に心エコー検査が行われた。なお偽陰性の結果については、臨床的フォローアップおよび両親からのフィードバックで特定を行った。

 評価は、パルスオキシメーター単独または+臨床的評価の、重大およびクリティカルな先天性心疾患の検出について、感度、特異度、陽性・陰性適中率、陽性・陰性尤度比を算出し検討した。

検出感度、クリティカル例93.2%、重大例90.2%
 パイロット試験では、6,785例の連続新生児についてスクリーニングが行われた。スクリーニング時の年齢中央値は生後47時間、パルスオキシメーター検査の平均時間は1.6分だった。結果、無症候性の重大先天性心疾患49例のうち46例が(94%)、また無症候性のクリティカルな疾患8例のうち8例が、パルスオキシメーター+臨床的評価により検出できた。

 続く前向き多施設試験では、12万2,738例の連続新生児についてスクリーニングを行った(症状なし12万707例、症状あり2,031例)。結果、先天性心疾患1,071例(うちクリティカル例157例、重大例330例)を検出した。

 無症候性新生児において、パルスオキシメーター+臨床的評価による検出の感度は、クリティカル例が93.2%(95%信頼性[CI]:87.9~96.2%)、重大例が90.2%(同:86.4~93.0%)だった。

 解析の結果、臨床的評価にパルスオキシメーターの情報を加えることで、クリティカル例の検出感度は77.4%(同:70.0~83.4%)から93.2%(同:87.9~96.2%)へと改善したことが示された。

 なお、クリティカル例検出に関する偽陽性率は、臨床的評価単独では2.7%(3,298/12万392例)、パルスオキシメーター単独では0.3%(394/12万561例)だった。