特発性頭蓋内圧亢進症、アセタゾラミド投与のエビデンス/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2014/05/08

 

 軽度視力低下を有する特発性頭蓋内圧亢進症(IIH)患者への、減量目的の減塩食療法+アセタゾラミド(商品名:ダイアモックス)治療は、減塩減量食単独療法と比較して、わずかだが視野の改善に結びついたことが示された。米国・アイオワ大学のMichael Wall氏らNORDIC Idiopathic Intracranial Hypertension研究グループが、165例を対象とした多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。IIHは主に妊娠可能年齢の肥満女性にみられる。治療薬として一般にアセタゾラミドが用いられているが、使用の根拠を裏付ける情報は十分とは言えなかった。JAMA誌2014年4月23・30日号掲載の報告より。

平均29歳、165例(うち男性4例)を対象に無作為化二重盲検プラセボ対照試験
 研究グループは、アセタゾラミドの視力改善への有益性を調べるため、2010年3月~2012年11月の間に、北米にある大学病院および民間病院38ヵ所で軽度視力を有するIHH患者165例を登録し、減塩減量食+アセタゾラミド(最大4g/日)群、または減塩減量食+プラセボ群に無作為に割り付け、6ヵ月間にわたり治療と評価を行った。評価は月1回外来受診時に行った。被験者は、IIHの改訂Dandy基準を満たし、周辺視野の平均偏差(PMD)値が-7~-2dBで、平均年齢は29歳、4例以外は女性であった。

 事前に予定した主要アウトカムは、ベースライン時から6ヵ月時点までの患眼(視力喪失が大きい側)のPMDの変化(ハンフリー視野計で測定)だった。PMDは-32~2dBを範囲としてマイナスの値が大きいほど視力喪失が大きいとした。副次アウトカムには、6ヵ月時点の乳頭浮腫重症度、QOL(視覚機能質問票25[VFQ-25]、36項目簡易健康調査で測定)、頭痛、体重の変化などが含まれた。

減塩食単独群よりもアセタゾラミド併用群で視野、視覚関連QOLなど有意に改善
 結果、6ヵ月時点のPMDの改善は両群ともにみられたが、アセタゾラミド併用群が減塩減量食単独群よりも有意に大きかった。ベースライン時から6ヵ月時点までのPMDの変化は、アセタゾラミド群(86例)は1.43dB(平均値で-3.53dBから-2.10dBに改善)、プラセボ群(79例)は0.71dB(同-3.53dBから-2.82dBに)で、両群の差は0.71dB(95%信頼区間[CI]:0~1.43dB、p=0.050)だった。

 また、乳頭浮腫重症度(治療効果:-0.70、95%CI:-0.99~-0.41、p<0.001)、国立眼研究所VFQ-25による視力関連QOL(同:6.35、2.22~10.47、p=0.003)、視神経に関する10項目QOL(同:8.23、3.89~12.56、p<0.001)についても、アセタゾラミド併用群で有意な改善がみられた。なおアセタゾラミド併用群のほうが、体重の減少が有意だった(同:-4.05kg、-6.27~-1.83kg、p<0.001)。

 これらの結果を踏まえて著者は、「減塩減量食療法単独と比較して、アセタゾラミドの併用使用は、わずかだが視野の改善に結びついた」と結論。ただし、今回の試験では、解析においてアセタゾラミド併用群に中断者がより多く含まれており、改善結果が減弱されていた可能性があることや、PMDの推定治療効果の設定に難点があったなどとして、「試験結果として示された改善についての臨床的意義は決定的なものではなく、さらなる検討が必要である」と補足している。

(武藤まき:医療ライター)