抗TSLP抗体薬、アレルゲン誘発性喘息に有望/NEJM

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2014/06/04

 

 新規開発中の喘息治療薬AMG157について、軽症アレルギー性喘息患者に対する、抗アレルゲン誘発性喘息反応が確認された。カナダ・マックマスター大学のGail M. Gauvreau氏らが実証検証試験として行った二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。AMG157は、アレルギー性炎症にかかわる重大なサイトカインである胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)に結合し、受容体との相互作用を妨げる抗ヒトTSLPモノクローナル免疫グロブリンG2λとして開発中である。今回の結果について著者は「アレルギー性喘息患者における、アレルゲン誘発性の気道反応および持続性気道炎症に、TSLPが重要な役割を果たしていることが確認された。抗TSLP抗体薬が臨床的価値を有するかは確認できなかったが、所見は、さらなる検討を行い、喘息コントロール不良の患者へのAMG157の作用機序と有益性調査の実施を支持するものである」とまとめている。NEJM誌2014年5月29日号(オンライン版2014年5月20日号)掲載の報告より。

軽症アレルギー性喘息患者31例を対象に二重盲検プラセボ対照試験
 本試験は、AMG157が軽症アレルギー性喘息患者の、アレルゲン誘発性喘息反応を減弱するとの仮説を確認することを目的に、患者31例を対象に行われた。被験者を無作為に、AMG157(700mg)を月1回、計3回静注投与を受ける群(16例)と、プラセボ投与群(15例)に割り付け、また、AMG157の1秒量(FEV1)の最大低下率の抑制効果を評価するために、42日目と84日目にアレルゲンを投与しアレルゲン誘発性喘息反応を評価した。また、呼気一酸化窒素(FeNO)濃度、血中および喀痰中好酸球数、気道過敏性についても測定した。

 主要エンドポイントは、アレルゲン投与後3~7時間に測定した遅発型喘息反応だった。

即時型および遅発型の喘息反応に関するほとんどの測定値が減少
 結果、AMG157投与群では、アレルゲン誘発性の即時型および遅発型の喘息反応に関するほとんどの測定値が減少した。

 アレルゲン投与試験の結果は、AMG157群のほうが42日目(p=0.09)、84日目(p=0.02)ともプラセボ群よりも有意にFEV1の最大低下率の抑制効果が大きかった。各時点のFEV1の最大低下率は、42日目はAMG157群のほうがプラセボ群よりも34.0%小さく、84日目は同45.9%小さかった。さらにAMG投与群では、アレルゲン投与前後における血中および喀痰中好酸球数、FeNO濃度が有意に低下した。

 有害事象は、AMG157群は15件、プラセボ群では12件だったが、重大有害事象はなかった。

(医療ライター:朝田哲明)