週1回GLP-1アナログでは初の非劣性/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2014/07/28

 

 血糖コントロール不良の2型糖尿病患者において、週1回デュラグルチド(dulaglutide、国内未承認)のHbA1c値の改善効果は1日1回リラグルチド(商品名:ビクトーザ)に劣らないことが、米国・オハイオ州立大学のKathleen M Dungan氏らが行ったAWARD-6試験で示された。両薬はいずれもGLP-1受容体作動薬であり、2型糖尿病患者において血糖コントロールを改善し、体重の減少をもたらすとともに、低血糖のリスクを低減することが報告されている。これまでに、2つの週1回投与のGLP-1作動薬(エキセナチド、アルビグルチド)とリラグルチドの直接比較試験が実施されたが、いずれの長時間作用型製剤もリラグルチドに対する非劣性は確認されていないという。Lancet誌オンライン版2014年7月11日号掲載の報告。

血糖値改善効果の非劣性を無作為化試験で評価
 AWARD-6試験は、メトホルミン治療中の血糖コントロール不良2型糖尿病患者に対するデュラグルチド(週1回、自己注射)とリラグルチド(1日1回、自己注射)の有用性を比較する非盲検無作為化第III相非劣性試験。

 対象は、年齢18歳以上、メトホルミン(≧1,500mg/日)の投与を受け、HbA1c値7.0%(53mmol/mol)~10.0%(86mmol/mol)、BMI≦45の患者であった。参加者は、デュラグルチド1.5mgを週1回皮下注射する群またはリラグルチドを0.6mg/日、1.2mg/日、1.8mg/日へと3週間かけて漸増する群に無作為に割り付けられた。

 主要評価項目は、治療終了時(26週)のHbA1c値(最小二乗平均値)のベースラインからの変化の差であった。非劣性マージンは0.4%とし、95%信頼区間(CI)の上限値が0.4%を超えない場合に非劣性と判定した。安全性は、治療終了後4週間のフォローアップを行って評価した。

HbA1c値の変化の差は-0.06%、安全性、忍容性も同等
 2012年6月20日~2013年11月25日までに、9ヵ国62施設から599例が登録され、デュラグルチド群に299例(平均年齢56.5歳、男性46%、平均BMI 33.5、平均罹病期間7.1年)が、リラグルチド群には300例(56.8歳、50%、33.6、7.3年)が割り付けられた。ベースラインの平均HbA1c値は両群ともに8.1%であった。両群269例ずつが治療を完遂した。

 HbA1c値のベースラインからの変化は、デュラグルチド群が-1.42%(p<0.0001)、リラグルチド群は-1.36%(p<0.0001)であり、両群ともに有意な改善効果が認められた。両群間の変化の差は、-0.06%(95%CI:-0.19~0.07)であり、デュラグルチド群はリラグルチド群に対し非劣性であった(非劣性p<0.0001)。

 空腹時血清グルコース値のベースラインからの変化は、デュラグルチド群が-1.93%(p<0.0001)、リラグルチド群は-1.90%(p<0.0001)といずれも有意に低下した。また、食後血漿グルコース値のベースラインからの変化は、それぞれ-2.56(p<0.0001)、-2.43(p<0.0001)であり、いずれも有意な改善が認められた。体重の変化は、-2.90kg、-3.61kgであり、リラグルチド群でより減少する傾向が認められた。

 頻度の高い消化器系の有害事象として、悪心(デュラグルチド群20%vs.リラグルチド群18%、p=0.46)、下痢(12%vs. 12%、p=0.99)、嘔吐(7%vs. 8%、p=0.55)などが認められた。有害事象による治療中止はそれぞれ6%、6%であった(p=0.99)。低血糖はそれぞれ9%、6%で発現したが、患者1人当たりの年間発生率は0.34回、0.52回であった。重篤な低血糖の報告はなかった。

 著者は、「デュラグルチドは、より少ない注射回数でリラグルチドと同等の血糖コントロールを達成した。週1回投与はコンプライアンスも良好と予測されるが、これについてはさらなる検討を要する」とまとめ、「本試験は週1回GLP-1受容体作動薬の1日1回リラグルチドに対する非劣性を確認した初めての研究であり、治療を決定する際の有益な情報となるだろう」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)