小児へのBCG接種の予防効果について、肺結核患者への曝露後感染を19%予防できることが明らかにされた。また、結核菌感染が認められた場合も、接種者では発症予防効果が58%あることも判明した。英国・イングランド公衆衛生サービス(PHE)のA. Roy氏らがシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。これまでの研究結果から、小児へのBCG接種が、結核の重症症状、なかでも髄膜炎に対して予防効果(60~80%)があることは明らかにされていた。BMJ誌2014年8月5日号掲載の報告より。
IGRA検査で結核菌感染の有無をスクリーニング
研究グループは、文献データベースMedlineなどをもとに、1950~2013年11月までに発表された、肺結核の患者への曝露が確認された16歳未満を含む試験を特定し、BCG接種と結核菌感染予防の効果について、システマティックレビューとメタ解析を行った。
被験者について、インターフェロン-γ遊離試験(IGRA検査)で、結核菌感染の有無についてスクリーニングを行った。
接種群は、感染後の進行も58%予防
14試験(被験者総数3,855例)について、分析を行った。
その結果、BCG接種群の結核菌感染に関する推定リスク比は、非接種群に対し0.81(95%信頼区間[CI]:0.71~0.92)で、小児へのBCG接種は非接種の場合に比べ、肺結核患者への曝露後感染予防効果が19%であることが示された。こうした予防効果は、IGRAの種類別に検証したエリスポット法またはクォンティフェロン法のいずれにおいても、同程度であった。
また、6試験(被験者総数1,745例)を対象に、結核菌感染が確認された被験者の、発症に対するBCG接種の効果を調べたところ、非接種群で発症が認められた人の割合は71%だったのに対し、接種群では27%だった。すなわち、感染者に対するBCG接種の結核発症予防効果は、58%(リスク比:0.42、95%CI:0.23~0.77)であることが判明した。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)