臍帯血移植1単位vs. 2単位/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2014/11/13

 

 小児・青少年の造血器腫瘍患者に対する臍帯血移植について、1単位vs. 2単位移植後の生存率は同等であったことが、米国・ミネソタ大学のJohn E. Wagner氏らによる第III相の非盲検無作為化試験の結果、示された。また1単位移植群のほうが、血小板回復が良好で、移植片対宿主病(GVHD)のリスクも低かったという。本検討は、移植時の造血細胞数が1単位よりも2単位のほうが多くなることから転帰が改善するとの仮説に基づき行われたものであった。NEJM誌2014年10月30日号掲載の報告。

1~21歳224例を1単位移植または2単位移植に無作為化
 1993年以来、臍帯血を用いた造血幹細胞移植は約3万件が行われてきたという。臍帯血移植は、1単位の胎盤から得られる造血細胞数は限られていることから、移植の適用対象は小児や体重が軽い成人に制限されてきたが、1単位移植後の造血機能回復の遅れや死亡率が高いことが報告されていた。一方で移植後の転帰に冷凍保存下の有核細胞の数量などが関係していることが報告され、2単位移植を含む移植片での造血幹細胞増加のためのさまざまな戦略が探索されるに至ったという。

 研究グループは今回、2006年12月1日~2012年2月24日の間、1~21歳の小児・青少年の造血器腫瘍患者224例を、1単位(113例)vs. 2単位(111例)移植について検討を行った。被験者は、全身状態がLansky/Karnofskyスケール70以上、臓器機能が十分に保たれており、HLA型一致臍帯血が2単位分入手可能な、急性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群の診断を受けていた患者であった。無作為化の前に、同一の骨髄破壊的前処置レジメン、GVHD予防の免疫抑制治療が行われた。

 主要エンドポイントは、1年全生存率であった。

1年全生存率は同等、1単位群のほうが血小板回復良好、GVHD発生も低率
 両群の年齢、性別、自己申告の人種(白人か否か)、全身状態、HLA型一致スコア、疾患名、移植時の状態などはマッチしていた。年齢中央値は、2単位群9.9歳、1単位群10.4歳、体重中央値は37.0kg、35.7kgだった。

 結果、1年全生存率は、2単位群65%(95%信頼区間[CI]:56~74%)、1単位群73%(同:63~80%)であった(p=0.17)。

 同様に、無病生存率(2単位群64%vs. 1単位群70%、p=0.11)、好中球回復率(88%vs. 89%、p=0.29)、移植関連死亡率(22%vs. 19%、p=0.43)、再発率(14%vs. 12%、p=0.12)、また感染症や免疫再構築症候群の発生、およびグレードII~IVの急性GVHD発生率(p=0.78)といったアウトカムも同等だった。

 一方で1単位群のほうが、血小板回復が有意に高率(1単位群76%vs. 2単位群65%、p=0.04)で期間も短く(58日vs. 84日)、グレードIIIまたはIVの急性GVHDの発生率(13%vs. 23%、p=0.02)、全身型慢性GVHDの発生率(9%vs. 15%、p=0.05)が有意に低かった。

(武藤まき:医療ライター)