母体の過体重や肥満は、乳児死亡率の増大と関連していることが、スウェーデン住民ベースコホート研究の結果、明らかにされた。同国カロリンスカ大学病院のStefan Johansson氏らが1992~2010年の出生児データを分析して報告した。満期産での死亡率増大および早産の出現頻度の増大が、乳児死亡率増大に寄与していたという。著者は、「母体の過体重と肥満は、世界中の乳児死亡率の重大かつ予防可能なリスク因子と考えられる」と考察し、他国における同関連の調査の必要性を提言するとともに、今回の所見は、公衆衛生担当者が乳児の健康促進のために妊婦の肥満予防に取り組むのに十分なエビデンスを有するものだと述べている。BMJ誌オンライン版2014年12月2日号掲載の報告より。
母体BMIと乳児期リスクとの関連を調査、スウェーデン1992~2010年
研究グループは、1992~2010年にスウェーデンで生まれた単体出生児185万7,822例について、母体の過体重および肥満と、死因別死亡を含む乳児死亡との関連を調べた。
主要評価項目は、妊娠初期の母体BMIと乳児期死亡との関連で、生後1ヵ月以内および生後1ヵ月~1歳未満時の死亡率との関連も調べた。また評価は全要因および在胎期間別や死因別で評価した。オッズ比は、母体年齢、出産歴、喫煙、教育、身長、母親の出生国、出産時の暦年で補正した。
乳児死亡リスク、母体BMIが25.0~29.9群1.25倍、35以上群は2倍超
母体特性をみると、54.6%が標準体重(BMI:18.5~24.9)で、過体重(25.0~29.9)は20.8%、肥満グレード1(30.0~34.9)6.2%、グレード2(35.0~39.9)1.8%、グレード3(40.0以上)0.6%であった。年齢は25~29歳が最も多く33.2%、次いで30~34歳で32.0%、35歳以上が17.3%。出産歴は初回が43.2%、2回目が36.4%で、喫煙者は11.6%、80.9%の母親がスウェーデン生まれなどとなっていた。
研究期間中の全乳児死亡は5,428例、乳児死亡率は2.9/1,000出生児であった。母体BMI別にみると、乳児死亡率は標準体重群では2.4/1,000出生児であったが、肥満グレード3群では5.8/1,000出生児で、標準体重と比べて過体重、肥満グレードが高いほど死亡率の増大がみられた。
補正後オッズ比でみると、過体重群1.25(95%信頼区間[CI]:1.16~1.35)、肥満グレード1群1.37(同:1.22~1.53)、また肥満グレード2群は2.11(同1.79~2.49)、肥満グレード3群は2.44(同:1.88~3.17)であり、肥満グレード2、3群では2倍以上となっていた。
早産(22~31週または32~36週)および満期産(37週以上)で層別化した分析では、母体BMIと乳児死亡リスクとの関連は、主として満期産群で認められた。同群では、新生児仮死やその他新生児期の疾患による死亡リスクが、過体重および肥満で高かった。また、肥満グレード2、3群では、先天奇形、乳児突然死症候群による乳児死亡率増大もみられた。