Clostridium difficile(C.difficile)感染症(CDI)の再発予防に、非毒素産生C.difficile株M3(NTCD-M3、VP20621)芽胞の経口投与による治療が有望であることが示された。米国・エドワード・ハインズJr. 退役軍人病院のDale N. Gerding氏らが、CDI患者でメトロニダゾールもしくは経口バンコマイシンで治療した患者を、3つの用量群とプラセボを含めた4群に割り付けて検討した第II相の無作為化二重盲検プラセボ対照用量範囲探索試験の結果、忍容性、安全性が良好で、NTCD-M3の糞便内コロニー形成がみられ、CDI再発の有意な減少が報告された。米国では、CDIは最も頻度の高い医療関連感染症であり、再発率は25~30%だという。JAMA誌2015年5月5日号掲載の報告より。
44施設173例を3つの用量群とプラセボ群に無作為化
検討は、2011年6月~2013年6月に行われた。被験者は18歳以上で、米国、カナダ、ヨーロッパの44施設で、CDI(初回エピソードまたは再発初回)と診断されメトロニダゾールまたは経口バンコマイシン(もしくは両薬)による治療が終了していた(臨床的な回復が認められた)173例であった。
患者は無作為に割り付けられ、次の4つのうち1つの治療を受けた。経口液製剤で(1)NTCD-M3 10
4芽胞/日を7日間(43例)、(2)同10
7芽胞/日を7日間(44例)、(3)同10
7芽胞/日を14日間(42例)、(4)プラセボ14日間(44例)。
主要アウトカムは、治療7日間の安全性と忍容性とした。探索的副次アウトカムとして、試験治療終了後から6週間後までのNTCD-M3の糞便内コロニー形成率、および1日目から6週後までのCDI再発率などだった。
CDI再発率、NTCD-M3群のオッズ比0.28
治療を開始したのは168例(各群41例、43例、41例、43例)で、治療を完了したのは157例だった。
1つ以上の治療による有害事象の報告は、NTCD-M3治療群で78%、プラセボ群86%であった。下痢および腹痛の報告は、NTCD-M3群で46%、17%、プラセボ群では60%、33%であった。
治療による重篤な有害事象は、NTCD-M3群で3%、プラセボ群は7%で報告された。
頭痛の報告は、NTCD-M3群10%、プラセボ群は2%であった。
NTCD-M3糞便内コロニー形成率は、69%で報告された。用量群別にみると、10
4芽胞/日群で63%、10
7芽胞/日群で71%であった。
CDI再発率は、NTCD-M3群11%(14/125例)に対し、プラセボ群30%(13/43例)であった(オッズ比[OR]:0.28、95%信頼区間[CI]:0.11~0.69、p=0.006)。最も再発率が低かったのは、10
7芽胞/日を7日間投与群だった(対プラセボのOR:0.1、95%CI:0.0~0.6、p=0.01)。再発は、NTCD-M3の糞便内コロニー形成が認められた患者群では2%(2/86例)であったが、認められなかった患者では31%(12/39例)であった(OR:0.01、95%CI:0.00~0.05、p<0.001)。
(武藤まき:医療ライター)