米国FDAに対し医薬品の適応拡大を申請する際、その有効性に関するエビデンスとして提出した臨床試験の内容は、適応拡大申請の内容によってばらつきがあることが明らかになった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のBo Wang氏らがシステマティックレビューの結果、明らかにした。具体的には、有効性について既存薬との比較を行っていたものは、新たな適応症を追加申請していたものでは30%、多剤併用から単独投与などへの変更では51%、適応対象集団の拡大では11%などだった。また、エンドポイントとして、臨床的アウトカムを採用した試験の割合にもばらつきが認められたという。BMJ誌オンライン版2015年9月23日号掲載の報告。
2005~14年の適応拡大のFDA承認薬について調査
研究グループは、2005~14年にFDAから適応拡大の承認を受けた処方薬について、システマティックレビューを行い、適応拡大の際に用いた試験と、最初の承認を受けた際の試験について比較を行った。
主要アウトカムは、比較対照薬(既存薬、プラセボ、歴史的対照、なし)、試験のエンドポイント(臨床的アウトカム、臨床スケール、代用エンドポイント)の種類だった。
臨床的アウトカムを示した試験、適応症の追加では32%
解析に組み込まれた適応拡大は、295件だった。
このうち、承認申請に当たり既存薬との有効性を比較した試験結果を提出していたのは、適応症の追加に関する申請では30%(136件中41件)、多剤併用投与から単剤投与などへの変更といった適応変更申請では51%(93件中47件)。また、適応対象集団の拡大申請では11%(65件中7件)と最も低く、このうち94%(65件中61件)は、適応拡大集団を小児患者とするものだった。
申請試験で、臨床アウトカムをエンドポイントとして採用していたのは、適応症の追加に関する申請では32%(137件中44件)、適応変更では30%(93件中28件)、適応集団の拡大では22%(65件中14件)だった。
一方、希少疾病用医薬品について、希少疾病以外への適応拡大を申請したものは40件あった。このうち、既存薬との比較を行っていたものは28%(40件中11件)で、当初の希少疾病用医薬品申請時(オリジナル試験時)の同24%(42件中10件)と同程度だった(p=0.70)。また、臨床的アウトカムをエンドポイントとした割合もそれぞれ、25%(40件中10件)と31%(42件中13件)と同程度だった(p=0.55)。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)