HPV-16/18に関連する子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)に対し、HPV-16/18(E6/E7蛋白)を標的にする合成プラスミドVGX-3100を投与することで、病理組織学的な退縮がみられ、治療効果がある可能性が示された。米国・ジョンズホプキンス大学のCornelia L. Trimble氏らが、167例を対象に行った第IIb相のプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果、報告した。CINの治療は切除とされているが、切除では生殖性の罹患状態が長期に続く可能性がある。そこで研究グループは、VGX-3100ワクチンに対宿効果があるかどうかを調べた。Lancet誌オンライン版2015年9月16日号で発表した。
36週後のCIN1・正常病理への改善率を比較
試験は2011年10月19日~13年7月30日にかけて、7ヵ国36ヵ所の婦人科医療機関を通じて、HPV-16とHPV-18に関連するCIN2またはCIN3の認められる患者167例を対象に行われた。研究グループは被験者を、無作為に3対1の割合で2群に分け、一方の群(125例)にはVGX-3100(6mg)を、もう一方の群にはプラセボを、それぞれ0、4、12週目に筋注投与した。
主要有効性エンドポイントは、初回投与から36週後のCIN1または正常病理への退縮とした。
per-protocol解析と修正intention-to-treat(ITT)解析を、プロトコルの不備なく3回投与した患者を対象に、また少なくとも1回投与した患者を対象にそれぞれ行った。
VGX-3100群のおよそ半数で退縮
試験実施計画適合集団のper-protocol解析では、病理組織学的な退縮が認められたのは、プラセボ群では36例中11例(30.6%)であったのに対し、VGX-3100群では107例中53例(49.5%)だった(絶対差:19.0ポイント、95%信頼区間[CI]:1.4~36.6、p=0.034)。
修正ITT解析では、同割合はプラセボ群40例中12例(30.0%)に対し、VGX-3100群114例中55例(48.2%)だった(同:18.2ポイント、1.3~34.4、p=0.034)。
なお、注射部位の紅斑発症が、プラセボ群42例中24例(57.1%)に対し、VGX-3100群は125例中98例(78.4%)と有意に高率だった(同:21.3ポイント、5.3~37.8、p=0.007)。
これらの結果を踏まえて著者は、「VGX-3100は、HPV-16/18に関連するCIN2/3に対し効果を示した初の治療的ワクチンである。VGX-3100は、CIN2/3の非外科的な治療オプションとして、同疾患治療の動向を変えうる可能性がある」と述べている。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)