東アジアや東南アジアでは近視が増加しているが、中国・中山大学のMingguang He氏らは、小学1年生を対象としたクラスター無作為化試験により、小児の近視は屋外活動を増やすことで予防できる可能性があることを明らかにした。学校での屋外活動時間を1日40分追加することで、対照に比べ近視の累積発症率が有意に低下したという。著者は、「本研究に参加した小児の長期追跡調査と、今回の知見が一般化できるかさらなる試験が必要」とまとめている。JAMA誌2015年9月15日号の掲載報告。
研究グループは、2010年10月~13年10月に、中国・広州の小学校12校の1年生を対象にクラスター無作為化試験を行った。12校を介入群6校(計952例)、対照群6校(計951例)に分け、介入群では授業がある日は屋外活動の授業(40分)を追加するとともに、保護者に対して、放課後、とくに週末と休日は子供を屋外で活動させることを奨励した。一方、対照群では通常の活動パターンを続けてもらった。
主要評価項目は、ベースラインでは近視でなかった児童における近視の3年累積発症率で、副次的評価項目は、すべての児童における等価球面屈折度の変化量および眼軸長の変化量であった。右眼のデータを分析に用いた。
主な結果は以下のとおり。
・近視の3年累積発症率は、介入群30.4%(259/853例)、対照群39.5%(287/726例)であった(群間差:-9.1%、95%信頼区間[CI]:-14.1~-4.1%、p<0.001)。
・3年間の等価球面屈折度変化量も、介入群(-1.42D)と対照群(-1.59D)で有意差が認められた(群間差:0.17D、95%CI:0.01~0.33D、p=0.04)。
・眼軸長の伸長は、介入群(0.95mm)と対照群(0.98mm)で差はなかった(群間差:-0.03mm、95%CI:-0.07~0.003mm、p=0.07)。
(ケアネット)