国連ミレニアム開発目標4は達成可能か?

提供元:ケアネット

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公開日:2007/10/04

 

2000年開催の国連ミレニアム・サミットで採択された8つの国連ミレニアム開発目標(MDG)のうち、4番目の目標が、2015年までに世界の5歳未満死亡を1990年基準より67%減らそうというものである。
 ワシントン大学のChristopher J L Murray氏らによる本論は、MDG 4目的達成の前提となる死亡率推計値について、現状データの統計方法に疑問を呈し、新たに再現性ある方法を開発するとともに既存データの再分析を行った。Lancet誌9月22日号より。

国連ミレニアム開発目標は67%減少を目指しているが……




研究グループは、172カ国における5歳未満死亡率のデータを可能な限り入手し、これまでの傾向と2015年までの予測についてLOESS回帰分析を行った。研究グループが開発したのは、それぞれの推計モデルの特異性に着目しながら過去のタイムトレンド、そして新生児期、乳児期、小児期の死亡率を算出するという方法。

その結果、世界の5歳未満死亡率は、1980年の1,000対110から、25年後の2005年には1,000対72に下がっていたこと、世界の児童死亡数は、1980年の1,350万人から、2005年には約970万人に減少していたことが明らかとなった。

また研究グループの推計では、1990年を基準とした場合の期待できる2015年までの5歳未満死亡率低下は27%で、「MDG 4が掲げる67%低下と比べればはるかに低い数値だ」と述べている。

アフリカサハラ以南の遅れが足を引っ張る




ラテンアメリカ、北アフリカ、中東、ヨーロッパと東南アジアなどいくつかの地域では、35年間にわたって毎年4%以上の低下率を維持し続けてきたことも明らかとなった。

MDG 4の世界における推移は、サハラ以南のアフリカ地域における死亡率低下の遅れに強く影響され続けており、同地域は人口増加率においても最も歯止めがかからない地域でもある。

これらから研究グループは、「世界的に見れば、幼児死亡率の低下という目的からすれば30年前よりもよい仕事をしているとは言えない」と述べ、幼児死亡率測定の質と即時性のさらなる改善は、既存データの十分な活用と、標準的な分析方法の適用によって可能なはずだと結論づけている。