妊娠中に破傷風・ジフテリア・無菌体百日咳の3種混合ワクチン(Tdap)を再接種した際、前回のTdap接種が2年以内であっても、早産や在胎週数不当軽量児(SGA)といった有害事象の発生リスクは、前回接種から5年超経過している場合に比べ増大しないことが示された。米国疾病管理予防センター(CDC)のLakshmi Sukumaran氏らが、約3万人弱の妊婦について行った試験で明らかにした。これまで妊娠中のTdap再接種に関する安全性は明らかではなかった。JAMA誌2015年10月20日号掲載の報告。
前回接種から2年未満、2~5年以内を5年超と比較
研究グループは、カリフォルニア州やコロラド州などの7つのワクチン接種に関するデータベースを基に、2007年1月1日~13年11月15日に妊娠中だった14~49歳の女性2万9,155例について、後ろ向きコホート試験を行った。
妊娠中にTdapを接種する2年未満、2~5年以内、および5年超前に前回のTdap接種を受けていた場合の、妊婦や出生児への有害事象との関連について分析を行った。
主要評価項目は、妊婦の発熱、アレルギー、局所反応と、早産やSGA、低体重児だった。
いずれの有害事象も前回接種が5年超と同等
結果、前回Tdap接種を2年未満、2~5年以内に受けていた群では、5年超経過している群(対照群)に比べ、妊婦や出生児への有害事象発生リスクはいずれも増大しなかった。
早産の発生率は、2年群が6.6%、2~5年群が6.4%、対照群が6.8%だった。2年群の対照群に対する補正後オッズ比は1.15(95%信頼区間:0.98~1.34、p=0.08)で、2~5年群の同オッズ比は1.06(同:0.94~1.19、p=0.33)だった。
SGAの発生率は、2年群が9.0%、2~5年群が8.7%、対照群が9.1%だった。2年群の対照群に対する補正後オッズ比は0.99(同:0.87~1.13、p=0.88)、2~5年群は0.96(同:0.87~1.06、p=0.45)だった。
また、局所反応についても3群で同等だった。
(當麻 あづさ:医療ジャーナリスト)