左室駆出率(LVEF)45%未満で慢性心不全の悪化が認められる患者に対し、新規開発中の可溶型グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬vericiguatの投与は、プラセボに比べ、NT-proBNP値を有意に低下しなかった。忍容性は認められ、またvericiguatの用量増加に伴うNT-proBNP値は有意に低下した。米国・ノースウェスタン大学のMihai Gheorghiade氏らが、456例を対象に行った第II相無作為化臨床試験の結果、明らかにした。JAMA誌オンライン版2015年11月8日号掲載の報告。
12週間後のNT-proBNP値の対数変換値を比較
試験は2013年11月~15年1月にかけて、欧州、北米、アジアに住む456例を対象に行われた。被験者は、臨床的に安定したLVEFが45%未満で、慢性心不全の増悪から4週間未満の患者だった。
研究グループは被験者を無作為に5群に分け、vericiguatを1.25mg/日(91例)、2.5mg/日(91例)、5mg/日(91例)、10mg/日(91例)とプラセボ(92例)を、それぞれ投与した。
最終フォローアップは2015年6月で、主要評価項目は、12週間後のNT-proBNP値の対数変換値だった。
高用量3群とプラセボ群、NT-proBNP値対数変換値の変化は同等
被験者のうち試験を終了した351例(77%)について分析を行った。
主要解析では、vericiguat高用量3群とプラセボ群について比較した。その結果、12週間後のNT-proBNP値の対数変換値は、vericiguat高用量3群とプラセボ群で有意差はなかった(変化値の差:-0.122、90%信頼区間:-0.32~0.07)。
探索的副次分析では、vericiguat用量増加に対するNT-proBNP値の対数変換値の変化を分析した。その結果、より高用量のvericiguat群で、低用量の群に比べ、NT-proBNP値対数変換値のより大幅な低下が認められた(p<0.02)。
研究グループは今回の結果を受けて、プラセボと統計的有意差はみられなかったが、忍容性は高く、用量反応関連に基づいたさらなる試験が必要だとまとめている。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)