脳内出血の原因診断、DSA実施で精度アップ/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2015/12/04

 

 非外傷性脳内出血の診断率および精度について、早期CT血管造影は大血管出血原因を検出する最初の診断法として適してはいるが、診断精度は低く、追加でMRI/MRAを行うことで海綿状血管腫の発見や代替診断法を明らかにすることが可能であり、その場合にデジタルサブトラクション血管造影(DSA)の診断が必要になるとの見解を、オランダ・ユトレヒト大学医療センターのCharlotte J J van Asch氏らが多施設前向きコホート研究の結果、報告した。BMJ誌オンライン版2015年11月9日号掲載の報告。

早期CT血管造影、追加MRI/MRA、さらにDSA実施の診断率と精度を検証
 脳内出血患者の大血管出血原因特定の診断アプローチには、大きなばらつきが存在している。CT血管造影とMRI/MRAの診断精度(DSAを参照標準とする)は高いと思われているが、先行研究では診断精度の過大評価に結び付く方法論的不備の可能性があったという。今回の検討では、高血圧や肺葉型血腫といった臨床的および放射線学的ベースライン特性も、大血管出血原因を有する患者を特定するのに役立つ点も考慮しながら、CT血管造影、MRI/MRA、DSAの診断率と精度を調べた。

 オランダの22病院で、6年間にわたって患者298例(18~70歳)を登録した。出血後7日以内でCT血管造影を実施し、陰性の場合、4~8週後にMRI/MRAを行った。CT血管造影またはMRI/MRAの結果が未確定もしくは陰性の場合、DSAを実施した。

 主要アウトカムは、動静脈奇形、動脈瘤、硬膜動静脈瘻、海綿状血管腫などの大血管出血の原因。3人の盲検化された神経放射線科医がそれぞれ大血管出血原因について画像を評価。参照標準(参照戦略)は、1年間のフォローアップ中のあらゆる所見から入手できた最良エビデンスとした。

陽性適中率、早期CT血管造影72%、MRI/MRA追加35%、DSA追加100%
 大血管出血原因は、69例(23%)の患者で特定できた。

 291例(98%)がCT血管造影を受け、214例が陰性で追加のMRI/MRAを受けた。いずれも陰性であった97例がDSAを受けた。

 早期CT血管造影で大血管出血の原因を検出できたのは51例(診断率17%、95%信頼区間[CI]:13~22%)であった。CT血管造影とMRI/MRAでさらに2例(18%、14~23%)を、DSA実施でさらに15例(23%、18~28%)を検出できた。また、後者の拡張戦略で、CT血管造影で未検出だった海綿状血管腫はフォローアップ中MRI/MRAで特定され、これを参照戦略として評価。陽性適中率は、CT血管造影72%(60~82%)、MRI/MRA追加35%(14~62%)、DSA追加は100%(75~100%)であった。

 CT血管造影またはMRI/MRAによる合併症の報告例はなかったが、DSAを受けた患者では0.6%が永続的な後遺症を有した。ただし、本検討ではCT血管造影およびMRI/MRAが陰性であった患者全員がDSAを受けたわけではなかった。

 また、DSAを受けなかった患者では、大血管出血原因発見の見込みが低かったが、動静脈奇形や硬膜動静脈瘻は見落とされる可能性があったとしている。

(医療ライター 武藤 まき)