頸動脈狭窄へのステント留置 vs.内膜切除の10年転帰:CREST試験/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2016/03/04

 

 頸動脈狭窄に対する頸動脈内膜切除術(CEA)と頸動脈ステント留置術(CAS)を比較したCREST試験の10年追跡結果を、米国・メイヨークリニックのThomas G. Brott氏らが報告した。主要複合エンドポイント(周術期脳卒中・心筋梗塞・全死亡および周術期以降の同側性脳卒中)の10年発生率に両群で有意差は認められず、周術期以降の同側性脳卒中のみでも両群間で有意差はなかった。CREST試験では、これまで主要複合エンドポイントの4年発生率について、両群で差はないことが報告されていたが、さらなる長期追跡の解析結果が待たれていた。NEJM誌オンライン版2016年2月18日号掲載の報告。

主要複合エンドポイントほか周術期以降の同側性脳卒中も評価
 研究グループは、米国およびカナダの117施設で、2000年12月~08年7月に症候性または無症候性頸動脈狭窄症患者2,502例を登録し、CAS群またはCEA群に無作為化して術後6ヵ月ごとに最大10年間追跡調査した(追跡期間中央値7.4年)。

 主要複合エンドポイントは周術期(無作為化後30日以内の施術例は術後30日以内、無作為化後31日以後の施術例は無作為化後36日以内)の脳卒中・心筋梗塞・死亡および周術期以降の同側性脳卒中であった。また、長期評価として、周術期以降の同側性脳卒中を主要長期エンドポイントとした。

CASとCEAで10年転帰は同等
 主要複合エンドポイントの10年発生率は、CAS群11.8%(95%信頼区間[CI]:9.1~14.8)、CEA群9.9%(95%CI:7.9~12.2)で有意差は認められなかった(ハザード比[HR]:1.10、95%CI:0.83~1.44)。

 主要長期エンドポイントの10年発生率は、CAS群6.9%(95%CI:4.4~9.7)およびCEA群5.6%(95%CI:3.7~7.6)で、両群間に有意差はなかった(HR:0.99、95%CI:0.64~1.52)。

 症候性患者と無症候性患者に分けて解析した場合、いずれのエンドポイントも両群間で有意差は認められなかった。再狭窄発症または再血行再建を行った患者の割合は、CAS群12.2%、CEA群9.7%であった(HR:1.24、95%CI:0.91~1.70)。

 著者は、「CREST試験の長期追跡結果は頸動脈疾患の治療と管理に役立つものであり、CASおよびCEAともに周術期のリスクは低いことに注目すべきであろう」と述べている。ただし、CREST試験では内科的治療との比較が行われていないという限界があったため、現在、CAS、CEAおよび非介入(強化薬物療法)の3群を比較するCREST-2試験が行われている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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コメンテーター : 山本 康正( やまもと やすまさ ) 氏

京都桂病院 脳神経内科 顧問

J-CLEAR評議員