持続性喘息の患者に対し、吸入ステロイド薬(ICS)フルチカゾンと長時間作用性β2刺激薬(LABA)サルメテロールの併用投与は、フルチカゾン単独投与に比べ、死亡や気管内挿管などの重度喘息イベントのリスクを増大しないことが示された。米国グラクソ・スミスクライン社のDavid A. Stempel氏らが、1万1,679例を対象に無作為化試験を行った結果、明らかにされた。増悪リスクは、併用投与群が単独投与群に比べ約2割低かったという。喘息治療における安全かつ適正なLABAの使用については、広く議論されている。先行する2つの大規模臨床試験では、重篤な喘息関連イベントリスクがLABAと関連している可能性が報告されていた。NEJM誌オンライン版2016年3月6日号掲載の報告より。
26週間投与し、安全性、有効性を比較
研究グループは、12歳以上の持続性喘息患者1万1,679例を対象に、多施設共同無作為化二重盲検試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方の群にはフルチカゾン+サルメテロールを(サルメテロール・フルチカゾン群)、もう一方にはフルチカゾンのみを(フルチカゾン単独群)、それぞれ26週間にわたり投与し、サルメテロール・フルチカゾンのフルチカゾン単独に対する非劣性を検証した。
被験者は、試験開始前1年以内に喘息の増悪が認められたが、直前1ヵ月間には認められなかった者を適格とした。また、これまでに生死に関わるほど重篤な喘息発作や、不安定喘息が認められた人は、被験者から除外された。
主要安全性評価項目は、死亡、気管内挿管、入院を要した初回重篤喘息イベント。主要有効性評価項目は、初回喘息増悪とした。
1回以上の喘息増悪、フルチカゾン単独群10%に対しサルメテロール併用群8%
重度喘息イベントが認められたのは、被験者全体で67例(74件)だった。そのうち、サルメテロール・フルチカゾン群は34例(36件)、フルチカゾン単独群は33例(38件)と両群で同等であり、サルメテロール・フルチカゾンの安全性に関する非劣性が示された(ハザード比:1.03、95%信頼区間[CI]:0.64~1.66、p=0.003)。
喘息関連死はなく、喘息による気管内挿管を行ったのは、フルチカゾン単独群の2例のみだった。重度喘息増悪の発症リスクは、サルメテロール・フルチカゾン群がフルチカゾン単独群より21%低かった(ハザード比:0.79、同:0.70~0.89)。1回以上の喘息増悪が認められたのは、フルチカゾン単独群597/5,845例(10%)だったのに対し、サルメテロール・フルチカゾン群は480/5,834例(8%)だった(p<0.001)。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)