BMI遺伝子リスクの影響、後年生まれほど強く関連/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2016/07/20

 

 BMIと関連する変異遺伝子が複数あることは知られるが、その関連は20世紀の肥満の蔓延とともに変化したとされている。また、関連については人種差があるともされてきたが、それらを裏付ける報告が、米国・カリフォルニア大学のStefan Walter氏らにより示された。研究グループは、全米健康と退職に関する調査(Health and Retirement Study:HRS)の登録被験者で1900~58年生まれの50歳以上について調査。その結果、後年生まれの人ほどBMIとBMI遺伝子リスクスコアとの関連が強いことなどを明らかにした。著者は、「検討の結果は、既知のBMIに関連する遺伝子変異が、肥満を引き起こしやすい環境(obesogenic environments)によって修飾された可能性があることを示唆するものであった」とまとめている。JAMA誌2016年7月5日号掲載の報告。

肥満環境曝露の違いがBMI遺伝子リスクに影響しているかを調査
 検討の目的は、肥満環境曝露の指標として出生コホートを用い、BMI高値の遺伝的素因が、若年時に肥満の蔓延に曝露した直近の出生コホートほど大きくなるかを調べることであった。HRSの被験者で1900~58年に生まれた50歳以上8,788例について観察研究を行った。被験者の大半は1992~2014年に12回のBMI評価を受けていた。

 BMIと関連する29の一塩基遺伝子多型(SNP)アレル(それぞれの加重値は公表されているBMIとの関連によって算出)の加重和を算出し、BMI多座遺伝子リスクスコア(GRS-BMI)を定めた。GRS-BMIは、遺伝的背景(29の座に関する)に基礎を置き、各人のBMIが、サンプルメンバーのBMIで求めた遺伝子リスクスコア中央値とどれくらい異なるかを意味するものであった。観察されたGRS-BMI中央集約値は-1.68~2.01であった。

直近生まれの人ほどBMI遺伝子リスクの影響が大きい
 分析の結果、GRS-BMIは、白人被験者(7,482例、初回評価時の平均年齢59歳、男性45%、p<0.001)、黒人被験者(1,306例、57歳、39%、p<0.001)いずれのBMIとも有意な関連が認められたが、BMI変異は、白人被験者は0.99%、黒人被験者は1.37%であった。

 年齢に関するマルチレベルモデルにより、GRS-BMIとBMIの関連の大きさは、直近のコホートになるほど大きいことが示された。たとえば白人被験者において、GRS-BMI高値群ではBMIとの関連が生年で有意に異なり、1943年以降の生まれでは1.37(95%信頼区間[CI]:0.93~1.80)であるのに対して、1924年以前の生まれでは0.17(同:-0.55~0.89)であった(p=0.006)。黒人被験者では、それぞれ3.70(2.42~4.97)、1.44(-1.40~4.29)であった。