積極的なライフスタイル介入が、糖尿病の発症を長期的に抑制する

提供元:ケアネット

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公開日:2008/06/05

 

6年間の積極的なライフスタイルへの介入により、その後14年間にわたり糖尿病の発症予防あるいは遅延が可能なことが、中国・中日友好病院内分泌科のGuangwei Li氏らが実施した20年に及ぶフォローアップ研究の結果から明らかとなった。ライフスタイルに対する強力な介入により、耐糖能異常が見られる患者において2型糖尿病の発症率が低下することがわかっているが、これらのベネフィットは積極的介入終了後どのくらいの期間持続するか、またこのような介入の心血管疾患や死亡リスクの低減効果については不明である。Lancet誌2008年5月24日号掲載の報告。

耐糖能異常に対する食事/運動療法の長期的効果を評価




本試験は、ライフスタイルに対する強力な介入による、糖尿病、糖尿病性の大血管/小血管合併症、死亡に対する長期的な効果を評価する縦断的フォローアップ研究(China Da Qing Diabetes Prevention Study; CDQDPS)である。

1986年、中国の33施設に耐糖能異常を呈する577名の成人が登録され、対照群あるいは3つのライフスタイル介入(食事療法、運動療法、食事+運動療法)のうち1つを実施する群に無作為に割り付けられた(対照群:138人、介入群:438人)。

積極的介入は1992年まで6年にわたって実施された(対照群:133人、介入群:397人)。2006年、介入の長期的効果を評価するためのフォローアップを実施した(対照群:82人、介入群:266人)。主要評価項目は、糖尿病の発症、心血管疾患の発症、死亡、全原因死亡であった。

介入群の糖尿病発症率が20年間で43%低下




2006年までに142人(25%)が死亡し、426人(74%)が生存していた。対照群に比べ介入群は、介入実施中の糖尿病発症率が51%低下し(ハザード比:0.49、95%信頼区間:0.33~0.73)、20年間では43%低下していた(0.57、0.41~0.81)。

20年間の累積糖尿病発症率が介入群80%、対照群93%とすると、糖尿病の年間平均発症率は対照群の11%に対し介入群では7%であった。介入群の糖尿病罹患期間は、対照群よりも3.6年短かった。

心血管疾患の初回イベント発生率(0.98、0.71~1.37)、心血管疾患死亡率(0.83、0.48~1.40)、全原因死亡率(0.96、0.65~1.41)は両群間に有意な差を認めなかったが、本試験はこれらの転帰の差を検出するには統計学的なパワーに限界があった。

Li氏は、「6年間のライフスタイルへの積極的介入により、介入終了後14年間にわたり糖尿病の発症予防あるいは遅延が可能であった。心血管疾患、死亡のリスクの低減効果については明らかでなかった」と結論し、「毎年、世界で300万人以上が糖尿病が原因で死亡している。ライフスタイル介入は、公衆衛生学的な対策として開発途上国、先進国の双方において正当化できる方法と考えられる」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)