胎児発育不全を検出する子宮底長測定の国際基準を作成/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2016/11/22

 

 英国・オックスフォード大学のAris T Papageorghiou氏らはINTERGROWTH-21stプロジェクトの胎児発育追跡研究から、妊娠健診において定期的に行う子宮底長(symphysis-fundal height:SFH)計測値の国際基準を作成する検討を行った。重大な合併症がなく先天奇形のない児を出産した妊婦の計測記録データについて分析を行い、臨床使用できる在胎齢(週)に比した子宮底長値(cmをパーセンタイル値で提示)を明らかにした。BMJ誌2016年11月7日号掲載の報告。

8ヵ国で妊娠14週以降、標準化した方法で5週ごとに測定を実施
 子宮底長計測は、妊娠期間中に胎児発育不全のスクリーニングとしてルーチンに行われている。これまでに3件のシステマティックレビューで、子宮底長計測の発育不全児の検出感度が評価されたが、観察コホート研究で示された感度は17%から93%に大きくばらついていた。研究グループは、このばらつきの原因として、測定法や記録が標準化されていないことなどを指摘し、国際標準を作成するため本検討を行った。

 INTERGROWTH-21stは、多施設多人種集団ベースのプロジェクトで、妊娠初期(14週未満)から出生児(2歳まで)の発育・健康・栄養・神経発達の研究を目的に、2009~2014年に8ヵ国(ブラジル、中国、インド、イタリア、ケニア、オマーン、英国、米国)で進められた。プロジェクトの1つ、胎児発育追跡研究は、健康で栄養状態良好な妊娠9~14週の妊婦を登録し、出産まで前向きに追跡調査した研究であった。

 参加者は、妊娠14週から出産まで、5週間(前後1週間の範囲内可能)ごとにフォローアップ受診を求められ、その都度、標準化された方法で子宮底長を測定された。計測は、訓練を受けた専任スタッフが、数値が見えないように工夫された巻き尺を用いて、超音波測定の前に実施した。

正常出産した妊婦の計測データを基に子宮底長のパーセンタイル表を提示
 妊娠初期にスクリーニングを受けた女性は1万3,108例、そのうち4,607例(35.1%)が適格基準を満たし登録された。

 このうち、4,321例(93.8%)が、重大な合併症を有さず、先天異常のない児を出産した。これら妊婦の子宮底長測定回数の中央値は5.0回(範囲:1~7)で、3,976例(92.0%)が4回以上の計測を受けていた。

 計測データを基に散布図を作成し、臨床に使用できる、在胎齢に比した子宮底長のパーセンタイル値(3rd、5th、10th、50th、90th、95th、97th)を示した表を作成した。

 子宮底長は、在胎齢に比してほぼ線形に増大することが示され、3rd、50th、97thの線形カーブを検証した結果、観察された値と良好に一致することが認められた。

 結果を踏まえて著者は、「本検討は、胎児発育不全のファーストレベルのスクリーニングツールとして、子宮底長測定のための国際基準を提示するものである」とまとめている。