prucaloprideは重度の慢性便秘に有効で心血管作用も見られない

提供元:ケアネット

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公開日:2008/06/11

 

本論は、重度の慢性便秘に対し開発された選択的高親和性5-hydroxytryptamine4(5-HT4)受容体作動薬prucaloprideの有効性を検証していた、米国・メイヨー・クリニックのMichael Camilleri氏らによる第III相試験の報告。「prucaloprideは腸機能を高め、重度慢性便秘症状を軽減した。心配されていた重大な心血管への影響はなかった」としている。NEJM誌2008年5月29日号より。

12週間にわたり620例対象にプラセボ対照試験




prucalopride の有効性は、重度の慢性便秘(自発的な完全排便が週2回以下)の患者620例を対象に12週間にわたり検討された。多施設共同無作為化プラセボ対照試験検討並行群間第3相試験。

患者は1日1回、プラセボまたはprucalopride 2mgないしprucalopride 4mgを投与。主要有効性エンドポイントは、12週間で、平均して週3回以上の自発的な完全排便があった患者の割合。副次的有効性エンドポイントは、患者記入による日記とアンケートの結果とした。また有害事象と臨床検査数値、心血管作用についてもモニタリングされた。

排便回数も重症度の実感も有意に改善




週3回以上の自初的な完全排便があった患者の割合は、prucalopride 2mg群では30.9%、prucalopride4mg群は28.4%だったが、プラセボ群は12.0%だった(両群間比較のP<0.001)。

12週間のうち自初的な完全排便が週1回以上増加した患者の割合は、平均してprucalopride 2mg群では47.3%、prucalopride 4mg群は46.6%だったが、プラセボ群では25.8%だった(両群間比較のP<0.001)。

排泄機能および治療に対する患者の満足感、便秘の重症度についての実感を含むすべての副次的有効性エンドポイントも、prucalopride 2mgまたは4mg投与群のいずれもが、プラセボ群と比較して有意に改善された。

治療に関わる有害事象で最も多かったのは頭痛と腹痛。しかし、重大な心血管作用はなかった。

このためCamilleri氏らは、「prucaloprideは重度の慢性便秘患者の腸機能を有意に高め症状を改善する」と結論。最後に、「リスクとベネフィットの評価のため、より大規模かつ長期間の試験が必要」とまとめた。

(武藤まき:医療ライター)