水疱性類天疱瘡へのドキシサイクリン投与は、標準治療のプレドニゾロン投与と比べ、短期間での水疱コントロール効果について非劣性であることが示された。さらに安全性については、プレドニゾロン投与に比べ重篤な有害事象リスクが有意に低かった。英国・ノッティンガム大学のHywel C Williams氏らが、253例を対象に行った非劣性無作為化比較試験の結果、明らかにし、Lancet誌オンライン版2017年3月6日号で発表した。
6週間後の水疱3つ以下の患者の割合を比較
研究グループは2009~13年にかけて、英国54ヵ所とドイツ7ヵ所の医療機関を通じて、水疱性類天疱瘡で2ヵ所以上の部位に水疱が3~4個あり、線状IgG基底膜腎炎、または線状C3基底膜腎炎を有する患者を無作為に2群に分け、一方にはドキシサイクリンを(200mg/日、132例)、もう一方にはプレドニゾロン(0.5mg/kg/日、121例)をそれぞれ投与し、ドキシサイクリンのプレドニゾロンに対する非劣性を検証した。無作為化では、ベースラインの症状の程度に応じて階層化を行った。治療開始1~3週間は局所補助療法として、局所ステロイド30g/週未満の使用を可能とした。
有効性の主要評価項目は、6週間後に水疱が3つ以下になった患者の割合とした。非劣性の評価は、ドキシサイクリンの効果がプレドニゾロンに対して25%低いと仮定し許容マージンを37%とした。
安全性の主要評価項目は、52週までの重篤な生命の危険を伴うまたは致死的な有害事象(Grade 3~5)の発生だった。
重篤有害事象発生率、ドキシサイクリン群で有意に低率
被験者の平均年齢は77.7歳で、68%が水疱性類天疱瘡中等症~重症の患者だった。
試験の結果、治療6週間後に水疱が3つ以下になった患者の割合は、ドキシサイクリン群が74%(112例中83例)に対し、プレドニゾロン群は91%(101例中92例)だった。両群の補正後差は18.6%、90%上側信頼限界値は26.1%で、事前に規定した許容マージンを下回り、ドキシサイクリンのプレドニゾロンに対する非劣性が示された。
さらに安全性については、52週における評価項目の発生率は、プレドニゾロン群で36%(113例中41例)に対し、ドキシサイクリン群では18%(121例中22例)で、補正後差19.0%と有意に低かった(p=0.001)。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)