無作為化比較試験の臨床試験レジストリへの登録の有無と、試験結果が肯定的であるかどうかについては、ほとんど関連がないとの研究結果が示された。登録時期の違いでみた場合も関連は認められないという。また、試験の資金提供が企業か非企業かの違いによる推定相対リスクは不明確であった。英国・オックスフォード大学のAyodele Odutayo氏らが、約600件の無作為化比較試験について調査した結果で、BMJ誌2017年3月14日号で発表した。
593例のレジストリ登録無作為化試験について調査
検討は、2012年12月までに発表され、2013年11月までにPubMedに索引付けされた主要無作為化比較試験を対象に行われた。
試験の臨床試験レジストリへの登録と、肯定的な試験結果との関連について、横断研究にて検証した。試験レジストリは、発表論文ベースで登録番号を確認、または試験登録検索で識別して確認。番号が明記されていない場合でも、世界保健機関臨床試験レジストリ(WHO ICTRP)や、欧州連合(EU)臨床試験レジスター、clinicaltrials.govなどで検索を行い、登録有無について確認した。登録については事前、事後で分けての検討も行った。
適格であった無作為化試験は1,122例で、そのうち登録試験は593例(52.9%)、非登録試験は529例(47.1%)であった。
事前・事後登録で層別化後も、試験結果と登録有無の関連見られず
全体的に、試験登録と肯定的な試験結果の関連は、統計的に有意だがわずかであった(補正後リスク比:0.87、95%信頼区間[CI]:0.78~0.98)。試験実施以前または以後の登録で層別化した場合にも有意差はみられなかった(それぞれ、補正後リスク比:0.87[0.74~1.03]、0.88[0.78~1.00])。
全体的に試験登録と資金源の相互作用は、わずかであるが統計的に有意であることが認められた(相互作用のp=0.046)。資金源が非企業の試験についてみると、登録された試験は非登録試験に比べ、試験結果が肯定的である傾向は低かった(補正後リスク比:0.75、同:0.63〜0.89)。一方で、資金源が企業の試験で、登録試験と肯定的試験結果との関連は認められず(1.03、0.79~1.36)、推定相対リスクは不明確であった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)