早期子癇前症リスクの高い妊婦に対し、妊娠11~14週から36週にかけて低用量アスピリンを投与することで、妊娠37週以前の子癇前症リスクはおよそ6割減少することが示された。英国・キングス・カレッジ病院のDaniel L. Rolnik氏らが、1,776例を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果で、NEJM誌オンライン版2017年6月28日号で発表した。早期子癇前症は、母体および周産期の死亡や合併症の重大要因である。低用量アスピリン服用で、そのリスクが低下可能か、これまで確認されていなかった。
アスピリン150mg/日を投与しアウトカムを比較
研究グループは、早期子癇前症リスクの高い単胎妊娠の妊婦1,776例を無作為に2群に分け、一方にはアスピリン(150mg/日)を、もう一方にはプラセボを、それぞれ妊娠11~14週から36週まで投与した。
主要評価項目は、妊娠37週前の子癇前症を伴う出産で、intention-to-treat(ITT)解析にて評価した。
子癇前症発症率、アスピリン群1.6%に対しプラセボ群4.3%
被験者のうち、152例が試験開始後に離脱し、また4例が追跡できなかった。そのため、分析対象はアスピリン群798例、プラセボ群822例だった。
妊娠37週前に子癇前症を発症したのは、プラセボ群の35例(4.3%)に対し、アスピリン群は13例(1.6%)と、有意に減少した(オッズ比:0.38、95%信頼区間:0.20~0.74、p=0.004)。
試験開始後に離脱した152例と、追跡できなかった4例を含む感度分析を行ったが、結果は実質的に同様だった。
服用順守率も高く、被験者の79.9%で、服用すべき錠剤数の85%以上を服用していた。なお、新生児有害アウトカムやその他の有害イベント発生率については、両群で有意差はなかった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)