新生児低酸素脳症、低体温療法は従来の方法で/JAMA

新生児の低酸素性虚血性脳症に対する低体温療法は、現行で推奨されている33.5度・72時間のプロトコルを、より低温にしたり、時間を延長しても、その後の死亡・障害発生リスクは変わらないことが示された。米国・ウェイン州立大学のSeetha Shankaran氏らが、低酸素性虚血性脳症の新生児364例を対象に行った無作為化比較試験で明らかにした。なお、結果について著者は「試験の検出力が不足していたが、時間延長および温度低下において相互作用が認められ、今回の試験では、現行の33.5度・72時間の手技を支持する結果が得られた」と結論している。JAMA誌2017年7月4日号掲載の報告。
新生児低酸素脳症の低体温療法について、33.5度対32.0度、72時間対120時間で比較
研究グループは、米国内18ヵ所の医療機関を通じて、妊娠36週以降に生まれた低酸素性虚血性脳症の新生児364例を対象に無作為化比較試験を行い、低体温療法の温度や時間と、アウトカムとの関連を検証した。被験児を無作為に4群に分け、33.5度で72時間、32.0度で72時間、33.5度で120時間、32.0度で120時間、それぞれ低体温療法を行った。
主要評価項目は、生後18~22ヵ月の死亡または中等度~重度の障害の発生で、試験施設と脳症の重症度で補正を行い評価した。
重度障害は、Bayleyの乳幼児発達スケール第3版で認知スコアが70未満、粗大運動機能分類システム(GMFCS)のレベルが3~5、盲目、音声増幅を行っても聴力喪失が認められる場合と定義した。中等度障害は、同認知スコアが70~84であり、GMFCSレベル2、痙攣、音声増幅を要する聴力のいずれかがある場合と定義した。
新生児低酸素脳症の低体温療法は、温度を低く、時間を長くしてもアウトカムは同等
試験は2013年11月に安全性と無益性の観点から、当初予定していた726例のうち364例が試験に参加時点で中断した。主要評価項目データが得られたのは347例(95%)で、フォローアップ時での平均月齢は20.7ヵ月だった。
死亡または中等度~重度障害の発生率について低体温療法の施行時間で比較したところ、72時間群では31.8%(176例中56例)、120時間群では31.6%(171例中54例)と同等だった(補正後リスク比:0.92、95%信頼区間[CI]:0.68~1.25、補正後絶対リスク差:-1.0%、95%CI:-10.2~8.1)。温度で比較した場合も、33.5度群の同発生率は31.9%(185例中59例)に対し、32.0度群では31.5%(162例中51例)と同等だった(補正後リスク比:0.92、95%CI:0.68~1.26、補正後絶対リスク差:-3.1%、95%CI:-12.3~6.1)。
なお低体温療法の時間(長時間)と温度(低温)について、主要評価項目に関して有意な相互作用が認められた(p=0.048)。4群の主要アウトカムの発生率は、33.5度・72時間群が29.3%、32.0度・72時間群が34.5%、33.5度・120時間群が34.4%、32.0度・120時間群が28.2%だった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)
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