1990~2015年の25年間で、世界のリウマチ性心疾患・年齢標準化死亡率は、約48%も減少したことが明らかになった。一方で、同死亡率には地域により大きな差が認められ、オセアニアや南アジア、サハラ以南の中央アフリカは高率だった。リウマチ性心疾患は、とくに低・中所得国では依然として心血管系の障害・死亡の、重要かつ予防可能な原因とされている。米国・ワシントン大学のDavid A.Watkins氏らは、2015年世界疾病負担(GBD)研究の一環として、世界、各地域、各国のリウマチ性心疾患有病率や死亡率を推定、分析し、NEJM誌2017年8月24日号で発表した。
132ヵ国からのリウマチ性心疾患データを分析
研究グループは、132ヵ国から集めた1990~2015年の致死的・非致死的リウマチ性心疾患データについて、システマティック・レビューを行った。GBD試験の分析ツールである、CDE(Cause of Death Ensemble)モデルとDisMod-MR 2.1を用いて、死亡率と有病率を、不確実性の評価とともに推定した。
リウマチ性心疾患により失われた障害調整生存年数は1,050万年
2015年のリウマチ性心疾患による推定死亡数は、31万9,400例(95%不確実性区間:29万7,300~33万7,300)だった。
1990~2015年の間に、世界のリウマチ性心疾患・年齢標準化死亡率は、9.2/10万(同:8.7~9.7)から4.8/10万(同:4.4~5.1)へと、47.8%(同:44.7~50.9)減少した。一方で、地域による大きな格差が認められ、2015年に、とくにオセアニア、南アジア、サハラ以南の中央アフリカで、リウマチ性心疾患の年齢標準化死亡率や有病率が高かった。
2015年の世界のリウマチ性心疾患の症例数は3,340万例(同:2,970万~4,310万)、またリウマチ性心疾患により失われた障害調整生存年数は1,050万(同:960万~1,150万)と推定された。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)