米国でのCEA・CASの実施率とアウトカムの推移/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2017/10/05

 

 米国で1999~2014年にかけて、頸動脈内膜剥離術(CEA)の実施率は継続的に減少した一方、頸動脈ステント留置術(CAS)の実施率は、1999~2006年にかけていったん増加し、その後2007~14年にかけて減少していたことが明らかにされた。術後アウトカムについては、血管リスク因子が増加したにもかかわらず、いずれも改善が認められた。米国・イェール大学のJudith H. Lichtman氏らが、同国のメディケア受給者の動向について調べた結果で、JAMA誌2017年9月19日号で発表した。

血行再建率、入院死亡率、30日脳卒中などを評価
 研究グループは1999~2014年の65歳以上のメディケア出来高払いプラン受給者について、メディケア入院・共通特性ファイルを用いて連続的横断分析を行い、頸動脈内膜剥離術と頸動脈ステント留置術施行の全米の傾向について調査した。

 年齢・性別・人種を補正した混合モデルを用いて、各郡特異的リスク標準化血行再建率を算出した。混合モデルにより、人口統計学的属性や併存疾患、症状の状態について補正後のアウトカムの傾向の評価を行った。

 主要評価項目は、出来高払い受給者10万人年(以下、10万人年)ごとの血行再建率、入院死亡率、30日脳卒中・死亡、30日脳卒中・心筋梗塞・死亡、30日総死亡、1年脳卒中のいずれも発生率だった。

術後30日虚血性脳卒中・死亡率は頸動脈内膜剥離術で年率2.90%減少
 試験期間中、頸動脈内膜剥離術を受けたのは93万7,111例で、平均年齢は75.8歳、うち女性は43%だった。一方、頸動脈ステント留置術を受けたのは23万1,077人で、平均年齢は75.4歳、うち女性は49%だった。

 1999年に頸動脈内膜剥離術を受けたのは8万1,306例だったのに対し、2014年は3万6,325例で、同実施率は1999~2000年の298/10万人年から2013~14年の128/10万人年へと有意に減少した(p<0.001)。

 一方、頸動脈ステント留置術を受けたのは、1999年の1万416例から2006年の2万2,865例と、同実施率は1999~2000年の40/10万人年から2005~06年の75/10万人年へと有意に増加した(p<0.001)。しかし、その後2014年までに、同実施率は38/10万人年へと有意に減少した(p<0.001)。

 また、頸動脈内膜剥離術や頸動脈ステント留置術を行った患者の高血圧罹患率が、それぞれ67%から81%、61から70%に増加するなど、血管リスク因子が増加し、さらに症候性の患者の割合が増えていたが、アウトカムについては改善が認められた。

 頸動脈内膜剥離術の術後30日以内の虚血性脳卒中発症率または死亡率の補正後年間減少率は、2.90%(95%信頼区間[CI]:2.63~3.18)、頸動脈ステント留置術の同減少率は1.13%(同:0.71~1.54)だった。1999~2014年にかけて、頸動脈内膜剥離術について同発症率の絶対的減少が認められたものの、頸動脈ステント留置術では認められなかった。

 術後1年の虚血性脳卒中発症率も減少し、頸動脈内膜剥離術では補正後年間減少率は2.17%(95%CI:2.00~2.34)、頸動脈ステント留置術では1.86%(同:1.45~2.26)だった。院内死亡率や術後30日脳卒中・心筋梗塞・死亡率、30日総死亡率などについても、改善が認められた。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

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コメンテーター : 中川原 譲二( なかがわら じょうじ ) 氏

梅田脳・脊髄・神経クリニック 脳神経外科

J-CLEAR評議員

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Lichtman JH, et al. JAMA. 2017;318:1035-1046.