さまざまな疾患の治療有効性を評価するため、患者および医師による総合評価(global assessments)が一般的に用いられるようになっている。しかし一方で、患者の総合評価と医師の総合評価は必ずしも一致しないとのエビデンスも示されている。そこでギリシャ・イオアニア医科大学Evangelos Evangelou氏らは、コクランデータベースで臨床試験における医師、患者の総合評価に関するシステマティックレビューを行った。結果は「おおむね一致する」と報告している。BMJ誌2008年6月7日号(オンライン版2008年5月21日号)掲載より。
コクランデータベースから検証データを抽出
治療効果に対する医師の総合評価が患者の総合評価と一致するかどうか調べるために、多様な状況下で行われた治療の系統的検討結果を蓄積した「コクランデータベース」から、同種治療に対する患者の総合評価と医師の総合評価に関する情報を抽出。主要転帰尺度は、相対オッズ比(実験的介入群と制御群の総合的改善に対して、患者評価と医師評価を比較したオッズ比の比率)と、医師と患者の評価に基づく改善比率とした。
治験と日常診療を補完する情報を提供する可能性も
18状況下63種類の治療(240の試験的治療を含む)で行われた、医師の総合評価と患者の総合評価の比較の結果では、相対オッズ比は0.98(95%信頼区間:0.88~1.08)で有意差はなかった(Iの2乗=0%、95%信頼区間:0%~30%)。ただし63種類のうち62種類の治療では、患者と医師の間に治療効果の評価に相違はなかったが、1種類だけ信頼区間の幅が明らかに大きいものがあった。
平均改善率も、相対オッズ比は0.98(0.88~1.06)で、医師評価と患者評価に違いはなかった(Iの2乗=0%、0%~24%)。
Evangelou氏は、治療効果に対する医師の総合評価と患者のそれとほぼ一致していると結論している。