進行性腎細胞がんの1次治療、ニボルマブとイピリムマブ併用が有効/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2018/04/02

 

 未治療の中等度~高リスク進行性淡明細胞型腎細胞がん患者の治療では、ニボルマブ+イピリムマブ併用により、従来の標準治療であるスニチニブに比べ全生存期間が延長し、客観的奏効率が改善されることが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのRobert J. Motzer氏らが行った「CheckMate 214試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年3月21日号に掲載された。進行性腎細胞がんの約75%が中等度~高リスク病変であり、低リスク病変に比べアウトカムが不良である。本併用レジメンの第I相試験では、未治療および既治療の進行性腎細胞がん患者において、良好な抗腫瘍活性を発揮することが報告されている。

中等度~高リスク例で3つの主要エンドポイントを評価
 CheckMate 214は、未治療の進行性淡明細胞型腎細胞がん患者におけるニボルマブ+イピリムマブ併用の有用性を、スニチニブと比較する非盲検無作為化第III相試験である(Bristol-Myers Squibb社とOno Pharmaceutical社の助成による)。

 年齢18歳以上、カルノフスキーの一般全身状態スコア(0~100点、点数が低いほど機能障害が重度)≧70点の患者が、導入療法としてニボルマブ(3mg/kg)+イピリムマブ(1mg/kg)を3週ごとに4回静脈内投与した後、維持療法としてニボルマブ(3mg/kg)を2週ごとに投与する群、またはスニチニブ(50mg)を1サイクル6週として、1日1回(4週間)経口投与し休薬(2週間)する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。

 主要エンドポイントは3つで、IMDC分類で中等度~高リスクの患者における全生存期間(α水準:0.04)、客観的奏効率(0.001)、無増悪生存期間(0.009)であった。

 2014年10月~2016年2月の期間に、日本を含む28ヵ国175施設で1,096例が無作為化を受けた。併用群550例、スニチニブ群546例であり、そのうち中等度~高リスクの患者はそれぞれ425例、422例であった。

死亡リスクが37%減少、9%で完全奏効
 ベースラインの年齢中央値は併用群が62歳、スニチニブ群も62歳、中等度~高リスク例はそれぞれ62歳、61歳であり、男性は75%と72%、74%と71%であった。

 フォローアップ期間中央値25.2ヵ月時における中等度~高リスク例の18ヵ月全生存率は、併用群が75%(95%信頼区間[CI]:70~78)、スニチニブ群は60%(55~65)で、全生存期間中央値はそれぞれ未到達、26.0ヵ月であり、死亡のハザード比(HR)は0.63と、併用群が有意に良好であった(p<0.001)。

 また、中等度~高リスク例の客観的奏効率は併用群が42%と、スニチニブ群の27%に比べ有意に高く(p<0.001)、このうち完全奏効率(探索的解析)は9%、1%(p<0.001)であり、有意差が認められた。

 一方、中等度~高リスク例の無増悪生存期間中央値は、併用群が11.6ヵ月、スニチニブ群は8.4ヵ月(HR:0.82、p=0.03)と、事前に規定された有意水準の閾値(0.009)を上回り、有意差を認めなかった。

 治療を受けた全患者(1,082例)における治療関連有害事象の発現率は、併用群が93%(509/547例)、スニチニブ群は97%(521/535例)で、そのうちGrade3/4はそれぞれ46%(250例)、63%(335例)であった。治療中止の原因となった治療関連有害事象の発現率は、併用群が22%(118例)、標準治療群は12%(63例)、治療関連死はそれぞれ8例、4例であった。

 併用群のうち436例に治療関連の免疫系を介する有害事象(皮膚、内分泌、消化器、肺、肝、腎)が認められ、152例(35%)が高用量グルココルチコイドの投与を受けた。

 著者は、「ニボルマブ+イピリムマブ併用療法は、主要エンドポイント3つのうち2つを達成し、死亡リスクを37%減少させ、スニチニブ療法を上回る生存ベネフィットを示した」とまとめている。

(医学ライター 菅野 守)