FDAに義務付けられた新薬市販後調査の実態/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2018/06/08

 

 米国・Yale-New Haven HospitalのJoshua D. Wallach氏らが、米国食品医薬品局(FDA)が承認した新薬/生物学的製剤に義務付けられている市販後調査(postmarketing requirements:PMR)について検証した断面解析の結果を報告した。その結果、米国における新薬/生物学的製剤のPMRは、簡潔に述べられていることが多く、研究デザインに関する情報が十分ではないことが、また、前向きコホート研究、登録研究および臨床試験としてPMRの約4分の3はClinicalTrials.govに登録されていたが、結果が公表または論文発表されていたのは完了した試験の約4分の3で、調査が義務付けられている研究の少なくとも4分の1は、公的に発信されていないことが示されたという。FDAは製薬会社に対し、新薬/生物学的製剤の安全性および有効性に関する重要な疑問に回答するためPMRの実施を要求できるが、その遂行やエビデンスの厳密さについて懸念が高まっていた。BMJ誌2018年5月24日号掲載の報告。

2009~12年に承認された97製品のPMRを検証
 研究グループは、2009年1月1日~2012年12月31日の間にFDAが承認したすべての新薬/生物学的製剤に関するPMRを対象に、承認時に示されていたPMRとその特徴(FDAの規制、研究デザインおよび研究の特徴など)、必須とされる前向きコホート研究・登録研究・臨床試験のClinicalTrials.govへの登録の割合、適時性および結果の報告、ならびに査読誌での発表について調査した(追跡期間は2017年11月15日まで)。

 FDAは2009~12年に、PMRの実施を要求した新薬/生物学的製剤97品目(適応症は計106)を承認しており、義務付けられたPMRは総計437件であった。

PMRの少なくとも4分の1は結果が公表されていない
 調査の結果、PMRの説明は短文で(単語数中央値:44、四分位範囲:29~71)、直近の進捗を明らかにする情報が不足しているものが多かった(131件、30%)。

 437件中、220件(50.3%)は新たな動物試験や他の試験(薬物動態試験を含む)、134件(30.7%)は前向きコホート研究・登録研究・臨床試験、83件(19.0%)は二次解析または追跡調査であった。

 臨床試験110件のうち、無作為化の方法、対照薬の種類、割り付け、評価項目、登録患者に関する情報が不足していたものがそれぞれ38件(34.5%)、44件(40.0%)、62件(56.4%)、66件(60.0%)、98件(89.1%)あった。

 前向きコホート研究・登録研究・臨床試験134件のうち、102件(76.1%)はClinicalTrials.govに登録されていた。さらに登録され完遂していたのは50件で、そのうちClinicalTrials.govに結果が報告されていたのは36件(72.0%)であった。

 非公表を含め完遂した65件のうち、結果が報告または論文発表がなされていたのは47件(72.3%)であった。FDA承認から報告・発表までの期間は中央値47ヵ月(四分位範囲:32~67)で、47件中32件(68.1%)はFDAへの最初の報告期限を過ぎていた。

(医学ライター 吉尾 幸恵)